119.故郷への想い
その日は雨の中を進み、それでも予定より早く距離を稼いで野営だ。
タープを張って食事の用意だ。今日は手抜きだな。ローストビーフを作ってパンとスープ、サラダだな。
サラダは茹で野菜のゴマドレかけ。スープはビーフコンソメで牛肉でローストビーフだ。
火加減と火の通り具合はトーカが確認。
双子は背後から俺に引っ付いて離れない。動きづらい。でも心配かけたから我慢だ。
おい、涎を垂らすな!
慌ててよそう。危なかったぞ。リアル涎だからな。リクも白玉もイナリもコハクもソワソワしている。どうしたんだ?
(カスミが泣いたから心配してるに決まってんだろ!何年そばにいると思ってんだ)
そうか、ツルツルなリクを撫でる。ありがとうな。体を撫で回したらウザがられた。ふふふっ優しいな、リク。
それから白玉の腹に顔を埋め、イナリのしっぽを撫で、コハクを撫で回して耳にキスをし、あんこの腹を吸った。
「食うぞってか食ってんな」
俺が従魔と戯れている間にもう各自の皿はほぼ無い。血走った目でおかわりの大皿を見る面々。俺は自分の分を食べる。
リクたちは専用の台にこんもり盛ったからな。
「美味え」
「半生なのにやたらと美味い」
「ソースが絶品」
「溶ける」
こちらでは半生とかで食わないもんな。もちろん、肉は浄化してから使ってるぞ!
食べ終わると夜の見張りが白竜だからアマランのテントに集合した。コーヒーを飲む。
「今日は久しぶりに俺の亜空間に来ないか?」
そう、魔力をスムーズに使えるよう俺の亜空間に時々、行っていた。ロキが最初に亜空間を使えるようになり、すぐにルキも使えた。
それから俺の亜空間に通いながら魔力回復のスキルも生やして、アマラン、ウルグ、セイも使えるようになったのだ。
もっともお宅訪問まで出来るのは今のところ俺だけだ。
なんとなく、じいちゃんの家を模した空間に行きたくなった。玄一郎さんにも見せてあげたら喜んでたよな…。また泣きそうになる。
セイが俺の頭を撫でると
「行くぞ」
「行く」「行きたい」
「あぁ」「行こう」
シュン
明るい陽射しが照る。大きくなった魔鳥に、大きな湖、コヒも植っているし、ゴールデンアップルとピーチも実を付けている。
俺は家に向かって歩く。
回り込んで縁側に座った。麗らかな陽気、懐かしい田舎の風景。故郷の…帰れない故郷の風景。
玄一郎さんは帰れたか?故郷に、また。田舎の原風景…日本の夏。蚊取り線香に花火、祭りに屋台。
何もかもが遠い。うちわも線香花火も。
俺の手を両側からルキとロキが掴む。まるで俺がいなくなる事を恐れるみたいに、ぎゅっと。口を結んで泣きそうな顔で。
なんでお前たちが泣きそうなんだよ?
「カスミが遠くて」「消えてしまいそうで」
「不安」「行かないで」
俺のことになるとほんとよく気がつくな。
「どこにもいかない。俺が帰る場所はここだからな」
ルキとロキの手を握り返すと肩に頭を乗せて来た。顔を横にしてその頭にキスをする。
チュッ
顔を赤くして下から見上げるルキとロキ。だから可愛いだろ!ったく男なのになんだこの可愛い生き物は。
恵まれてんな、俺は。
自然と微笑むと唇を突き出してくる2人に順番にキスをした。
「もっと」「足りない」
おい、だから言い方!
アマランたちが生暖かい目で見てるだろ、恥ずかしい。
「うわっ、こら…」
縁側で双子に押し倒されて顔中キスされた。ふふふっほんと可愛いな。頭を抱き寄せて目を瞑る。
今を精一杯生きよう。
「主、このまま泊まりましょう」
えっ、大丈夫か?
「はい、大丈夫です。何かあればトーカが気が付きます」
その日は亜空間のじいちゃん家で寝た。
いや、じいちゃん家じゃ無いんだが俺の妄想じいちゃん家だ。
家の中には土間とか囲炉裏とかあるからな。古い田舎の蕎麦屋みたいな作りだ。
自分で言うのもなんだが、よく出来た空間だ。
双子は静かに俺を抱き寄せて、体を密着させて寝た。体は反応しているのに、俺のために我慢してくれたみたいだ。その気持ちが嬉しくて俺は目を瞑るとすぐに寝た。
「カスミは寝た?」
「うん、ぐっすり」
「我慢無理」
「無理だよね」
2人は頷き合って…満足して寝た。翌朝、カスミの悲鳴が響き渡った。
あんなカスミを見たら、不安になるしここに留めなきゃって思う。だからなのか、いつもより元気で。
無防備に寝る姿を見て我慢できなかった。
でもいいよね?僕たちは結婚してるんだから。僕たちはまだ21才だし、好きな人のそばにいたら自然とね。
成長してもまだ細くて白くて滑らかな肌。触れると吸い付くようで気持ちいい。
柔らかな髪の毛は背中につくほどで…その毛先にキスをする。誰にも渡さない。
例え故郷でも、カスミは渡さないから。
なんか少し背徳感があって、いつもより頑張っちゃったな。いいよね?カスミ。
俺は目を覚ました。ん、なんかあったかい。さわりっん?撫で撫で。えっとつるんとしてる。なんだ…?
寝ぼけながら顔を上げる。あったかいなぁ。
あったかい?つるん??
目を開ける。パチパチッ…白い。うわっ…なんでだよ!
あ、体が怠い。まさか、だよな。
「うわぁーーー!」
「カスミ、どうした?」
走り込んできたセイが俺の状況を見てため息を吐いた。
「びっくりした。いつものことだろ?」
いや、まあそうかもだが。
頭を撫でると
「元気になったならよかった」
と部屋を出て行った。
俺たちは曇り空の下、馬車を護衛しながら進む。
少し怠いが、リグに回帰させるほどでも無い。リクはそばでポクポク歩く。俺は歩いてるフリで風魔法で滑る。
自分の亜空間で目を覚ました俺は寝てる間に双子によろしくされたようだ。起きない俺もどうかと思うが。
双子は満面の笑みだ。
「不安にさせるからカスミが悪い」
「お仕置き」
だそうだ。心配掛けたな。これはルーガスに着いたら話すかな。
洗いざらいだ。年齢の事も黙ってるのは心苦しい。それでもし双子やセイが俺から離れるなら仕方ない。それだけの関係だって事だ。
その後も特別な事はなく、順調に旅は進んだ。
ただ、例の味見の話はやはり掟なんだとか。俺に紐付く存在だから、俺と融合する事で擬人化から人へと変われるらしい。要は儀式みたいなもんだな。
セイが俺にした血族の儀式みたいなもんで、体を繋げる訳じゃない。ないが、それに近い行為だから。
あちらに着いたら思う存分、新婚にひたらしてやりたいからな。
度の途中でそれぞれ魔力を融合させた。これは服を脱いで体を触れ合わせ、魔力を開通させる。その行為自体がなんていうか、交わってるような感覚になるんだ。
クリスとした時に
「ん…はぁ、あっ…」
やけに艶めかしい声で焦った。俺とセイの時もこんな感じだったのか?恥ずかしい。
翌朝、目を覚ましたクリスは頬を染めて俺の胸にしがみ付いた。
「凄い、です…」
なんかごめん。初めてを奪ったような罪悪感だった。
「大丈夫です…」
その日はクリスが可愛くて、ずっとそばに寄り添っていた。
その翌日はトーカだ。いつものツンデレはどこへやら…
「や、優しくし、て…」
消え入りそうな声で自分の体を抱いて言う。いや、別に交わらんぞ?
俺の下で体を震わせて
「あっ…ん、ふぅ…は、はぁ…」
やめてくれ、罪悪感が。
「んふ、はぁはぁ…だ、大丈夫だから…んん…」
うわぁ、なんて声出すんだよトーカ。今すぐ死ね、とか言ってたお口の悪いトーカが艶めかしい声を出すなんて。
「ん…はぁ」
俺にしがみ付いて気を失った。あまりにもアレなんで、俺の息子が縮こまったぞ。
翌朝、目を覚ましたトーカは顔を真っ赤にして俺を睨むと
「この変態!」
空気砲が飛んで来た。避けたけどな。で、しっかりと抱きしめてキスしてやった。
「あ…」
昨日散々魔力を交換したからな。サムズアップしたら可愛く睨まれた。いや、トーカも顔だけはいいからな。背中の突起を撫でると
「いや…あ、ダメ…」
即やめた。声なんとかしてくれ!
あ、ヤバい。双子が凄え睨んでる。
「変態」「最低」「不潔」「浮気者」
違うだろ!
そのまま双子に拉致された俺。がんばれ!
(不潔)(最低)(変態)(ケッ)
白玉、イナリ、コハクにリクまで酷いだろ!?
いや、あれか?嫉妬か…。ふふっ可愛い奴だ。コハクは伴侶だからな!たくさんもふったぞ。
いや、なんか疲れた。今日はリグだな。何気にリグとはあまり話をしていない。クリスとトーカはしょっちゅうなんだが、リグを使う機会はそんなに無いからな。いや、まぉ食べ物ではよく使ってるが。
人型のリグとはあまり絡んで無い。だから緊張する。一応、唯一の女型だからな。
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