99.待合室での牽制
牽制はまだ続く。
「ルキ、ロキ、その自らデザインは分かるわ。でも誂えたと言うのは?」
「お母様、そのままです。彼が自ら縫ってくれたのです」
それは知らなかったお父様とお母様は驚いた。このやり取りは誰かが3人の服を作った。そして、パルシェン公爵家とシュプラール侯爵家は繋がっている。
セイは家族といい、双子は彼と表現。しかも双子のペンダントとピアス、カフスには水色が使われている。それは瞳の色。自然とセイと双子が婚約したと勘違いする。しかも、小指には指輪付き。
「そのピアスは?」
これはお父様だ。
「彼が魔力を込めて…」
ここでどよめいた。
実は魔石に色がつくのは属性の魔力が入っているから。紫は雷で水色は氷。どちらもスキルがあるか魔術系のジョブ持ちにしか使えない魔法だ。 その魔力が混ざり合っているのだから両方使えると言うこと。これはとても珍しいのだ。
カスミは知らないが、国に拉致されるレベルだ。しかも、待合室のみんなはセイルールと双子を見てため息を吐いたと思っているが、カスミもため息の対象だった。
カスミの容姿は儚げな雰囲気とまだ小柄で細い体、さらにセイルールよりも薄い水色の目は虹彩が避けていてとてもきれいだ。
色味は目立たないが、くっきりとした二重に切れ長の目。細く形の良い鼻に薄くぽてりとした唇。
カスミこそ美少女に間違えられるくらいには見目が良かったのだ。全く無自覚だが。
俺は鼻高々だった。俺が作った服は確かにカッコいいと思う。しかし、やっぱりそれを着こなすイケメンぶりが凄い。公爵家のみんなももちろん、美男美女だ。
しかし偏差値にするなら公爵家のみんなは75、セイと双子は90後半だ。
うんうんと1人悦に入っていた。
ちなみにカスミも80後半ぐらいなのでやっぱり他より突出しているのだが、全く自覚していなかった。
そこで俺に声をかけて来た人がいた。アナライズ・ルーガイザ伯爵令嬢の…あれ?この人。あれ?絶賛混乱中だ。
ちなみに俺は今回、従者だから話しかけられても応えちゃダメなんだ。
そっとセイを引っ張る。
「護衛任務の時にいた騎士だけど…女装してる」
と言えばセイはポカンとしてから静かに笑う。なんだ?
「か、彼女は…ぐふっ。彼女こそが伯爵令嬢で、かつ騎士だぞ」
え、えぇーー!だってまな板…。思わず胸元に目をやる。ペタペタだな。
俺の代わりにセイが
「この子は見ての通り今日は従者だ」
と牽制してくれた。
「その…」
俺の小指を見てから
「婚約されたのでしょうか?」
誰がとも聞かない。だからセイはわざと
「そうなのだ」
と答えた。自分の小指を見ながら。
伯爵令嬢には俺が婚約したと分かるが、他の人にはセイが婚約したと聞こえる。しかも、相手が誰とは言わない。
「!その、同衾も…」
「済んだ」
血族の儀式のことか?それ以外でもたまに抱き枕だからな。済んでるっちゃ済んでるか。
「そうですか…。残念だ。しかし、あの商品は本当に助かっているのです。これからも良い取引をお願いします」
意気消沈して入場して行った。
そしてそろそろ牽制も終わったので、俺たちもパーティー会場に向かう。先に双子が入場した。ルキがロキをエスコートだ。便利だな、双子。
ルキとロキとその両親とリベリアーノ兄様たちが入場し、ティア姉様、そして俺とセイだ。
小さくともエスコートは俺がする。いつもとは逆で俺がセイの指先をちょこんと持って会場に入った。
双子の時も凄かったが、セイが入ると大きなどよめきが起きた。そりゃな、セイはカッコいいからな。
あちこちで双子とセイの服装と、本人たちの美貌についてささやかれている。さらにお父様とお母様のジュエリーもだ。
魔石のジュエリーは比較的珍しい。
色付きの魔石が珍しいからだ。それを百合の花にデザインするのはとても難しいのだが、カスミは知らない。
ざわめきが一段落した。俺とセイは双子のそばに向かう。俺は挨拶として双子の指先に触れて唇を近づけた。寸止めしたのに、あちらから向かって来た。
思いっきり手の甲にキスしてぞ!おい、寸止めの意味無いだろ!
近くで嬌声が聞こえた。
「見なくていい」
「見る価値ない」
「うるさい」
「カスミを見るな」
お口悪いな?
それにギャラリーは散々な言われようだな。まぁ見ないけどな。セイと双子を見てた方が目の保養になる。
なにやらギラギラとしてて、しかも色が濃くて目が疲れる。なんでドレスって赤とか青とか緑とかの原色使うんだろうな。目がチカチカする。
ファンファーレが鳴った。王族の登場だ。みんなの目線が壇上に向かった隙に、認識阻害と隠蔽を発動した。俺もだぞ!
ダンスの時までこのまま過ごす。
王様とお妃様、3人の王子と2人の王女が入って来た。
第一王子はセイと、第二王子はルキたちと同じ年。第三王子と第二王女はなんと俺も同じ年だ。第一王女は14だから2つ上だな。王立学院で3人の王族と一緒になる計算だ。うわ、めんどくせー。
王様はザ、王様って感じの美丈夫だ。もちろんみんな美男美女。でもな、チラッと双子を見る。美女ぶりなら双子が上だな。チラッとセイを見る。美男ぶりもセイのが上だな。
1人でうんうん頷いていた。
歓談の時間になると、手早く料理に向かう。普段お目にかかれない高級食材がある予感。
おっローストビーフ発見。あちらはキャビアか?
パンとスープ、サラダも取った。もちろん、セイと双子の分もな。
ローストビーフを口に入れる。うん、肉は美味いな。でもソースがなぁ。
ポケットから玉ねぎドレッシングを取り出すとそっと掛ける。セイと双子も皿を押し出してくるので掛けてやる。
「全然違う」「美味しい」「変わった」
となればおかわりだ。みんなあまり料理は食べずに挨拶をしている。
会話が聞こえて来た。
「見ました?シュプラール侯爵家の双子」
「魅惑の双子ですわね、見ましたわ!なんて美しい」
「本当に。まだ婚約者はいらっしゃらないとか」
「あら、最近婚約したと聞きましてよ?」
「まぁ…それでパーティーに参加を?」
「エスコートはされてませんでしたわ」
「未成年かしら?」
「あのお洋服、ご覧になって?」
「もちろんですわ!なんて美しい」
「際立ちましてよ」
「えぇ、耳にピアスが…私、卒倒しそうでしたわ。あまりの色気に」
「まぁ、私もです。耳元で愛してるなんて囁かれたいですわ」
「一度でいいからね、夜を」
「まぁはしたない!でも分かりますわ」
「「乱されたい…」」
猛然とローストビーフを食べる双子。聞こえてんな、全部。可哀想になって口元を拭って飲み物を渡す。頬を撫でれば抱き付かれた。
認識阻害してるとは言え、見えてるんだから自重しろよ。
離れ際に頬にキスしてやった。酒の肴にされてるのがかわいそ過ぎる。
もっともセイも話題にされてるけどな。
「見ました?セイルール様」
「なんて美しい。頬のキズすら色っぽいなんて」
「荒々しく迫られて…俺のものになれ、なんて」
「キャー素敵」
「倒れてしまいますわ」
「あら、倒れたら見えなくてよ?」
「あの逞しい腕に…あぁ、もうダメ」
妄想も甚だしいな。セイが猛然とステーキを頬張る。その口元を拭って飲み物を差し出す。コッソリ俺が作ったシャンパン風だ。ぐびぐび飲んだ。
そして俺を抱きしめた。だから認識阻害してるだけで見えるんだよ!
俺は話題になってないから優雅に食って飲んでいた。
実は聞こえていないだけで、カスミこそ話題をさらっていたのだ。あの見た目なら娘の、息子の婚約者にと、狙われまくっていたのだ。
音楽が流れる。ダンスタイムだ。まずは王族が踊る。
その後に公爵家と侯爵家。ここで俺がセイにダンスを申し込む。指先を持って。するとセイがそれに応える。そう聞いていた。
まさか、応える為に俺の指先にキスするとは思っていなかった。手袋を取っていたから指先にセイの唇が触れた。そして笑顔で俺をエスコートする。
俺は顔から火が出そうだ。俺の腰を抱き寄せると
「ふふっサプライズだ!」
「事前に言えよ!」
「それじゃサプライズにならない」
くそっやられた。
俺は羞恥心で真っ赤になりながら、セイに抱き寄せられてダンスを踊った。ってかセイにリードされてた。流石だ。一度も足を踏まなかった。
最後に頬にキスして終わった。はぁ?
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