表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

重ねる日々

 朝、顔を合わせた彼女におはようと告げる。

 綻ぶような笑顔でおはようと返してくる彼女の顔を見る。


 歩く道ばたに生えた草木を見る。

 日差しを浴びて伸びやかに枝葉を伸ばす木々や、その上に止まる鳥のさえずり、吹き抜けていく風を感じる。

 たどり着いた町で交わす言葉。そこで暮らす人々の様子。笑顔もあれば泣き顔もある。思い悩む顔も怠惰に飽きた顔も、それぞれの思いを抱えて人々は暮らしている。


 そして自分の成すべき事を成す。

 魔力を練り、地を動かし、あるべき姿へ戻す。

 私の全てはこのときのためにある。

 世界をあるべき姿に戻す、それが私達の役目なのだから。


 役目を終えた私に、彼女がまた綻ぶ笑顔でお疲れ様、とねぎらう。

 そしてその笑顔のまま、次の仕事はまた遠そうね、と続けた。


 次の役目があるのなら、と私は気を引き締める。

 また次の朝、旅と出会い、それらを繰り返して、私は明日も生きて行く。

 いつまで続くかわからないが、続いていく限り、私は明日を繰り返す。


 止めたくなったら止めても良いのよ? と彼女は微笑んだ。

 私は首を振る。彼女はその反応を知っていたとばかりに肩をすくめた。

 付き合わせている彼女への罪悪感はあるけれど、私は足を止めるつもりは無い。


 積み重ねたら積み重ねただけ、いつか終わりを迎えたとき、彼に近づけるかもしれないのだから。

即興小説トレーニング様にて

お題:生きている儀式 制限時間:30分

で執筆させていだきました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ