表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

花の行く末


「やっと見つけたわ。探したのよ?」


 コツン、と白い日傘が地面を付く音に菜生は振り返る。

 見慣れた菜の花色の微笑みに、真面目な彼女は呆れたようなため息を漏らす。


「あなたが私を見失う訳が無い。あなたの方こそ何していたんだ?」

「ふふ、たいしたことじゃ無いわ。それより、手伝いましょうか?」


 そう言って、アンバーは菜生の隣に屈み込んだ。

 そこに咲いていた小さな花に伸ばした手を、やんわりと菜生の手が遮った。

 そのまま菜生はその小さな花を根っこから抜き取り、日当たりの良い場所へと植え替える。

 かちん、と腰に差した鍔が鳴って、掘り返した場所は綺麗にならされた道へ戻った。


「ついでにその手も綺麗にしたら良いのに。本当に変なところで律儀よねぇ」

「必要ないところに力を使いたくないだけだ。川で流してくるから、ちょっと待っていてくれ」

「は~い」


 足早に立ち去る菜生を見送ったアンバーは、道ばたへ植え替えられた花を見下ろしてから傘を開く。


 くるくる、くるくる。

 傘を回しながらニコニコと穏やかに微笑む。


「待たせた」

「おかえりなさい。ねぇ、どうしてこの花を植え替えたの?」


 すぐまた足早に戻ってきた菜生を振り返らずに、アンバーは尋ねた。

 くるくる、くるくる、傘を回しながら。

 何故そんなことを聞くのか、と怪訝そうな顔をしながら菜生が答える。


「そうするべきだと思ったからだ」

「そう。きっとこの花はこの後、誰に踏まれることなく、道行く人の目を楽しませるのでしょうね」


 傘を回す手を止め、ニコニコと微笑みながらアンバーはそう言った。

 彼女の傘には未来が映る。映った未来を語っているのか、そうなるようにと願った菜生の心を見透かした言葉なのか、彼女には分からない。

 それでも、菜生はアンバーの言葉に微笑みを浮かべた。


 そのまま二人は黙って道を歩き出す。

 道の続くまま、二人の魔女は世界を漂っていく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ