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25話:パーティーの後で

「アルフレッド殿下、スライ嬢、アシュクロフト伯爵令嬢。国王陛下がお呼びです」

パーティーも終わりかけた頃、三人はそう言って国王に別室へ呼び出された。アンジーは一瞬その言葉を信じていいか迷ったようだが、呼びに来たのが国王の信任篤い執事であったアルフレッドがついて行くのを見て、その通りにした。エスメラルダもついていく。

 案内された部屋は、防音・防魔の結界が張られた会議室のひとつだった。普段であれば、王族や官僚、貴族が会議に使う部屋である。そこには国王、アシュクロフト伯爵、第三騎士団団長のオーマンディ侯爵、そしてその息子のユージンがいた。団長は、ユージンの父でもある。

「まずは三人とも、かけるがよい。呼び出した理由は一つ……先ほど捕らえた男についてだ」

三人の背が自然と伸びた。毒はどのようなものが、誰に入っていたのか。後ろにいるのは誰なのか、確認したいことはいくらでもある。

「毒は、アシュクロフト嬢の杯に入っていました。治癒の魔力を阻害して対象を死に至らしめる、レモラという毒草によるものです」

「ひっ……!」

回復魔法が見出されてから、一番人を殺してきたと言われる毒草の名に小さくエスメラルダが声を上げた。何かを仕込んでいるだろうとは視えていたが、まさかそこまで殺意が高いと思わなかったのだ。レモラの毒は回復魔法に反応して、さらに人の身体を蝕んで死に至らしめる猛毒と名高い。しかもレモラかどうかの判断は、回復魔法をかけてみないとわからないのだ。

「レモラ草は一度だけ、学園に持ち込まれて騒ぎになりました」

学園で起きた毒殺未遂事件の際、すぐ傍に居合わせたアンジーによってレモラの毒は解毒された。解毒薬が一応存在してはいるが、特に貴族階級では何かあったら回復魔法に頼ってしまうことが多い。そして、沢山の人を殺してきたのがこの毒草だった。大きな事件がある度にこの草を根絶やしにしようとする運動が起きるが、根絶はできていない。

「その時は幸い、…………人死にはありませんでしたね」

エスメラルダの唇が言いかけた途中で不自然に止まったのを見て、大人達は得心した表情を作った。神殿による《沈黙の契約》を課せられた事柄は、自分の意志では口には出せない。部室で起きた出来事だったため、関係者全員が契約をしていた。

「もしかしたら、毒を盛った相手はスライさんのことをよく知らない可能性がありますわね」

「彼は連行されている途中で、自ら命を絶った。恐らく最初は逃げる気だったが、失敗した時に死ねる手段を用意していたか、誰かに処分されたのだろう。詳細は、調査中だ」

「風の精霊に連れて行かせればよかったね……」

誰がエスメラルダに死を望んだのか、そもそも殺したい相手は本当にエスメラルダだったのか。それを確かめる手段は、失われてしまったのだった。

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