41-2 謎の襲撃者
バーネットは持ってきたコーヒーを渡し、アニスの隣に座ると聞く体制を作る。
「バリエガータを襲った奴は、インサニアと名乗ったそうだ」
「エッ? どういうこと?」ロイの言葉に違和感を抱くバーネットが確認する。
「マーティの話から、バリエガータが追ってたのがインサニアらしいんだが、奴が連れてたのは「破壊の女神」だった。インサニアが召喚したのは「復讐の女神」で「破壊の女神」は、「水の宮殿」を破壊したサチェルドス・デイ(神の巫女)。となると、奴の偽者であることが濃厚。その為、僕たちは奴ではなく、別の偽者だと考えてる」
「インサニア、偽者。どうして?」首を傾げるアニス。
「それは今のところ分からないけど、コモンが「冥府の宮殿」に戻ったとき、バリエガータに聞いてくれるらしい」
「偽者の狙いは私たち?」顔がこわばるバーネット。「なんのために、私たちを狙うのかしら?」
「考えられることは一つ。目的地まで行かせないこと」
「アアッ!」思わず声を上げるアニスとバーネット。
「何者なのかしら? 正体を確かめる手立てはないの?」
「まずはコモンに頼むことだな。僕たちの世界の者じゃないことは確かだろうし」
「そうね」
『変装できるってことから調べることはできないのかな?』考えるシュール。『それに、サチェルドス・デイ(神の巫女)を召喚できるんだから』
「バーバスカム語を習得してる者ね」
『そう! 宮殿監督庁にリストがあるらしいけど、見ることが難しいみたい』
「貴重なリストだから、閲覧希望理由でも聞かれるんでしょうね」
『すごいバーネット! そのとおりだよ。コモンでも見るのが難しいんだって。だから、昔から懇意にしてる古代神に頼んでくれるんだって』
「古代神?」
『うん。でも、どんな古代神なのか教えてくれなかったんだよ。詳細を話すには、承諾を取る必要があるって』
「まあ、でしょうね。バリバリの個人情報だろうから」頷くバーネット。
「ねえ、ロイ。文献、見た?」話を変えるアニス。「夢に、出てきた、文献、こまめ、見ろ」
「ああ、そういえば、あれからまた更新されてるかもしれないね」
ロイは、中央テーブルの端に置いてある分厚いハードカバーの文献を引き寄せると、ページをめくって続きが書いてあるか、確認する。
すると、
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どうして門外不出のサチェルドス・デイ(神の巫女)が、九体もあなた方がいる星に来ているのかわかりませんが、その中の三体が、あなた方の宇宙船を壊しにきます。
しかし、あなた方はゲートナンバー二十のメインシェルターが取り外されるまで、持ち堪えなければなりません。
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「サチェルドス・デイ(神の巫女)が九体いるって?」ロイが読み間違えたか確認するが、合っているので「コモンが連れてきた「報復の女神」とインサニアの偽者が連れてる「破壊の女神」のほかに、サチェルドス・デイ(神の巫女)が来てるのか?」




