38 特殊資格者リスト
「それでは、宮殿監督庁に特殊資格者のリストがありますね?」
『資格を取得したときリストに記載されるので、歴代の取得者がわかるようになってる。そのリストのチェックも依頼してあるが、今のところ該当者なしだ』
「……そうですか。第三者がそのリストを閲覧する許可は、もらえそうにないですね」
『無理だな』
「コモンは?」
『俺でも無理だ』
「では、誰なら見ることができますか?」
『そうだな。わかりやすいところなら、古代神だ』
「古代神か……僕たちが知ってる古代神はみんないなくなってしまったから、頼むことができない」
『……心当たりがあるから、俺がなんとかしてみる』
「協力してくれそうな古代神がいるんですか?」
『俺が「冥府の宮殿」の担当になったときからお世話になってる方だ。訳を話せば、手を貸してくれるかもしれない』
「誰なんですか!」
『それはまだ言えない。先方の許可を得ないと話せないんだ。もう少し待ってくれ』
「そうですか。わかりました。協力してくれることを祈ります」
『古代神が協力してくれても、リストを見られるか、確実ではないぞ』
「どうしてですか?」
『閲覧するためには、確固たる理由が必要だからだ』
「確固たる理由があるじゃないですか」
『それは、宮殿監督庁の担当者が決めることだといえば、わかるか?』
「フゥ。本当に、僕たち人間と同じですね」
『我々は、それほど人間と変わってるところはないぞ』
「いえ、違ってるところがたくさんあります」
『そっちか。確かにそうだな』
「とにかく、特殊資格者のリストの確認をお願いします」
『申請は出しておく』
「ダメなら、他の手を探しましょう」
『そうだな』
「ところで、次のメインシェルターの取り外し作業ですが、ゲートナンバー二十五のほうを先に対応してもらえますか? たぶん、謎の召喚者の目的は僕たちだと思うので、他のゲートには行かないと思われます」
『そう言われるだろうと思って、すでに向かってる』
「そうなんですか! 先読み、すごいですね」
『今までの話を聞けば察しはつく。しかし、謎の召喚者は、本当に「尋ね人」たちが狙いなんだろうか?』
「どういう意味ですか?」
『もし君たちが狙いだとしたら、真っ先に君たちの宇宙船を狙うと思うが、実際はそうじゃないからだ』
「それは僕も気になってました。では、謎の召喚者の目的は何なんでしょうか?」
『さすがにそれはわからないな』
「そういえば、バリエガータと「漆黒の狼」のひとグループが追ってるらしいですが、なにか連絡が来てますか?」
『いや、来てない。彼女が追ってるのであれば、いずれ連絡が来るだろう。こちらはゲートナンバー二十五に着いたので、これから作業に入る』
「わかりました。お願いします。なにか進展があったら連絡します」




