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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
十三章 老い先短い星
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36-3 謎の召喚者

 

 そのコモンから、ゲートナンバー十五のメインシェルター取り外しが終わったと連絡がきたのは、それから少し経ってからだった。


「お疲れ様です」ロイが光っている黒曜石の指輪に話し掛けると『今のところ、問題なく作業が進んでるが、なにか不穏な動きがあるようだな。大丈夫か?』冷静なコモンの声が返ってくる。


「それが……」何者かにエンジンを破壊された宇宙船の事件から、マーティとの謎の召喚者のメールのやり取りや、宇宙管理局からの倉庫破壊事件の報告を話し、


「水の宮殿」を襲ったサチェルドス・デイ(神の巫女)の一つである「破壊の女神」が、召喚者とともにここに来ていることを伝えると


「バリエガータが宮殿監督庁に捜査依頼を出していたと思うのですが、結果を聞いてますか?」


『それなら、進捗情報が来てたな。「封印の宮殿」に収められていた「破壊の女神」像は、だいぶ前から偽物と入れ替えられていたことが、調査でわかったそうだ。ご丁寧に偽者の像には、本物の像から発せられるエネルギーが張り付けてあったそうだ』


「前に「封印の宮殿」は他の宮殿と違って特殊だと聞いたことがあるんですが、そのことが「破壊の女神」像のすり替えに関わってたりしますか?」


『いや、それはないだろう。確かにあの宮殿は他の宮殿より異質な、というか、根本的にほかの宮殿と造りが違うんだが、それ故に、許可なく宮殿内に入ることが難しいんだ』


「そうなんですか。それで、ほかの情報はないんですか?」


『あとは、侵入した痕跡がないので、正確にいつすり替えられたかは断定できないが、おそらく百年くらい前だろうと予測されてる』


「フゥ、百年くらい前ですか……僕たちが生まれる前に、すでに偽物とすり替えられてたんですね。それにしても、痕跡がない。それは逆に「封印の宮殿」に出入りできる者の可能性が高い、ということになりますよね?」


『もちろん、その線も調べたそうだか、怪しい者はいなかったそうだ』


「宮殿監督庁で働いている誰かの可能性は?」


『フフッ、俺と同じところに目を付けるな。宮殿監督庁には文字どおり、各宮殿を見回り、セキュリティや建物の老朽具合を調査する部署がある。その部署の者であれば、宮殿の責任者に訪問連絡をするだけで、責任者の立ち合いも必要なく宮殿に入ることができるんだ』


「それでは、真っ先に疑われるのではないですか?」


『俺が疑ってるのは、他の部署の者が担当部署の者に成り済まして、入り込む可能性のほうだ』


「ああ、なるほど。そういうケースも考えられますね。さすがコモン」

『コモンがいたらどんな悪だくみも見抜かれそうだから、内緒で動いたほうがいいね』


『シュール。聞こえてるぞ』

『あらま』


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