1 ファイヤーブリザード星
十一月二十九日。
予定していた日時に目的のファイヤーブリザード星へ着陸した。
外気温は本日マイナス十七度。
とてつもなく寒い気温に感じるが、住んでいる人に言わせると、この時期はわりと過ごしやすいらしい。
窓の外は一面の銀世界。
『すごーい! 全部キラキラ光ってる!』騒ぐシュールの声が響く中「今年のツインズムーンフェスティバルは、二日後の十二月一日だ」小型タブレットで資料を確認するマーティ。
「それまでに、アニスという女性を捜さないといけないのか」
メインターミナルの中にあるカフェ。
窓ガラスに面したカウンター席に並んで座り、外を見ている。
横の椅子には防寒具が置いてある。
「捜すといっても、手掛かりが少なすぎる」マーティが運ばれてきたコーヒーを飲むと「十八歳前後の女性なんて、見るかぎりごまんといるからな」ターミナル前にあるメインストリートを歩く人波を見るロイ。
「あの婆さんに、もう少し詳しく聞いとけばよかったな」
「いまさら言ってもしょうがないよ」
ロイはバッグからタブレットを取りだすと役所のHPにアクセスし、受付のページで、アニスの名前で登録されている人物のリストを申請した。
「リストは貰えそうか?」思っていたより味がいいのか、文句を言わすにコーヒーを飲んでいる。
「名前の検索だけだから大丈夫そうだ」ロイも文句を言わずにコーヒーを飲む。
返事が来るまでの間、窓の外を眺めていると、ひっきりなしに救急車が通るので「ここの車は救急車しかないのか?」マーティの文句が始まる。
「ターミナルの出入り口に、滑りやすいので、必ず靴に滑り留めを付けるよう注意が出てた」
「ケガをするのはよそ者か」
コーヒーを飲み終えたころ、役所から返事がきてリストが添付されていた。
「十人か。思ったより少ないな」
「手分けして電話しよう。ロイは上からかけてくれ」
「なんて聞く?」
「そうだな。代々門の管理をしてるか、とか?」
「何の門だと聞かれたら?」
「第二の門だと言えばいい」
「それで行こう」
手分けしてリストに記載されている電話番号にかけていった結果、十人中六人は別人だとわかり、あとの四人は電話に出ない。
「この四人の中にいるのか?」リストを見るロイが「どうする?」と聞くと「直接訪ねるしかないだろう。リストに記載されてるアドレスにメールを送っても、すぐに読んでくれるかわからないし、待ってる時間がない」
「遠いな。しかも、みんな別方向だ」
「二手に分かれるか?」
「そうだな……いや、追っ手のことがあるから、別行動はやめよう」
「ああ、そうだったな」
「時間がない。今日中にこの二人のところへ行ってみよう」
比較的近い住所の二人に会いにいくことにした。
いつもご愛読いただきましてありがとうございます。
本回より第四章:第二の門編が始まりました。
引き続きお楽しみください。




