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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
十三章 老い先短い星
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34-1 始まる破壊工作


『でも、エンジンが壊れちゃったらもう使えないでしょう? 乗ってる人たちはどうするの?』


「問題はそこなんだよ。隣の火災が起きた宇宙船も使えないらしいから、両方に乗ってた人達を、他の宇宙船に振り分ける必要があるんだけど、どの宇宙船も定員ギリギリなんだ」


 中央テーブルの3Ⅾモニターに、後部が抉られた宇宙船と火災が起きている隣の宇宙船が映っている。


『この艦は? 大勢の人が乗れるんでしょう? いっぱいなの?』


「レジーナ マリス号は二千人くらい乗れる大型戦闘艦だけど、この星から持ち出すための貨物も積んでるから、重量がギリギリなんだ」


『そっか。重さが重要なんだ』

「そうだよ。積載量がオーバーすると、艦のコンピューターが警告を出すんだ」

『ちゃんとチェックしてるんだね。でも、どうするの?』


「イノンドが、最初のゲートナンバー五のメインシェルターがあいたとき、星外から降りてきた近隣担当の宇宙管理局員と一緒にいるから、ゲートナンバー五に停泊してる宇宙船が全部離陸したら、輸送船を降ろして、そこに乗船させるか、検討してると言ってた」


『なら、大丈夫だね』


「ところが、そうはいかないんだ。偵察用のリモコン機を飛ばしてゲートナンバー五までの道路の様子を見た結果、ひび割れや周りのビルの倒壊で、寸断されてて通れないらしいんだ」


『じゃあ、どうするの? 宇宙船に乗れなかったら、星に残らないといけないんだよ』


「あとは、ここのゲートのメインシェルターが取り外された後、停泊中の全宇宙船が離陸してから、輸送船を降ろして救出することになる」


『間に合うの?』

「それは、誰にもわからないよ」

『そんな……ここまで来たのに!』


「それにしても、エンジントラブルが起きて火災が発生するのがゲートナンバー五じゃなく、ここだったとは思わなかった」予測を見誤って後悔するロイ。「安易に考えすぎた。そういえば、火災発生後に、マントを着た男が破壊工作を始めると言ってたな」


 ロイは携帯を取り出すと、マーティと一緒に、残された人達と回収してもらった食料を持ち帰るため、駐車場の出入り口横にある倉庫へ行っているナオが見た夢の内容をメモしたものを出すと、読みなおす。


・狼の出現は悪い兆候。

・黒いマントを羽織った男が狼の群れを操り、破壊工作を始める。

・そのキッカケは、ある宇宙船の火災。

・そのことが始まりで、次々と破壊工作が起きる。

・最終的に、半分くらいの宇宙船が爆発に巻き込まれる。

・星外にいる宇宙管理局をはじめとする宇宙船も、星の爆発に巻き込まれる。


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