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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
十三章 老い先短い星
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32-3 自分とソックリな敵

 

「ロゼア、ナイスタイミングだよ」大通りの真ん中に立つリシェルが、隣にいる大人の姿のロゼアに声を掛けて褒める。


 偽者のリシェルが連れてきた「破壊の女神」が、無人となった街のいたる所に小型爆弾を仕掛け、爆発の振動で、この星の地殻を一気に動かし、大地震を起こして星の爆発を誘発しようとしてたことに気づいたときは、すでに爆発しはじめていたが、爆発の振動が地面に伝わる前に、ロゼアが「空虚(くうきょ)の穴」へ通じる入り口を発動し、爆弾が付いたものをどんどん放り投げて、星の地面に振動が伝わるのをかろうじて止めていた。


「そういえば、「空虚(くうきょ)の穴」に「大地の女神」のナトゥーラと、「冥府の王」のインフェリースをぶら下げたままだった。瓦礫にぶつかってないかな?」不意に思い出すリシェル。「あの時は、もっと手こずるかと思ったけど、ロゼアが相手だと油断したのかな?」


 その後、コモンも「空虚の穴」にぶら下げようと、無謀にも「冥府の将軍」に真正面から戦いを(いど)み、相打ちどころかかなりの深手を負うこととなって、いまだにキズが完治していない。


 しかし、ケガをしたお陰か、好意を寄せているバーネットとの仲が急速に近くなったことに関しては、お礼を言ってもいいかな、くらいには考えている。


 そういうこともあって、バーネットのためなら、多少傷が痛んでも、出向いてくる気力は出ていた。


 もちろん、大人の姿のロゼアにとっても「お医者のお姉ちゃん」であることは変わりないので、気合を入れて危険物を取り除いている。


「ここは大方片付いたかな?」

『終わった』


「ありがとう。さて、「復讐の女神」たちはどこまで行ったかな? 突然姿を消しても、彼女たちの追撃から逃れることは誰にもできないことを、奴らは知ってるのかな?」


 さっきまで建ち並ぶビル群に囲まれていたはずだが、今はアスファルトの道路と、僅かに残った建物の残骸が少し残るだけの閑散とした場所になっている。


「それにしても、奴は一体、何者なんだろう?」自分とソックリな容姿と声をしているとは思ってもいなかったので、驚きとともに、捜索する手掛かりが掴めたことを喜ぶ。


「そして、「破壊の女神」を連れていたことも、大きな収穫、情報である。


「あの特徴のある柄の長いハンマーは、「破壊の女神」の(あかし)でもあるアイテム」ふと、リシェルの表情が険しくなる。


 文字通り、彼女たちは「破壊の女神」なのだ。

 形あるものを破壊していくことを生業(なりわい)としているサチェルドス・デイ。(神の巫女)


 その「破壊の女神」をわざわざここに連れてくるということは、答えは簡単。この星ごと、「尋ね人」たちを葬ろうとしていることは、すぐにわかる。


「問題は、なぜ、奴らは「尋ね人」たちを(ほうむ)ろうとしてるのか」


 リシェルはてっきり、「尋ね人」たちのあと追って、彼らが会いにいこうとしている特殊能力を持つ者を捕らえ、操ろうとしているのだと思っていたが、どうやら、その考えは的を外しているらしい。


 とにかく今は、バーネットたち「尋ね人」を、この危険な星から脱出させることが最優先事項。


「ロゼア。この星に停泊してる宇宙船を全部星外に出すまで、なんとしても星の爆発を止めるんだ」

『うん! 「お医者のお姉ちゃん」のために、ロゼア、頑張る!』



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