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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
十三章 老い先短い星
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31-1 最初のシェルター オープン

 

 その頃、ゲートナンバー五のメインシェルター切り離しのための作業が終わったため、床に敷いてある黒いシートを回収後、「報復の女神」たちを左壁面にある通路からセカンドシェルター内に引き上げさせ、星外からのメインシェルター引き上げ作業を待つ段階にきていた。


『尋ね人』ロイの指輪から声が聞こえてくる。『話していいか?』

「はい。作戦会議室のサブ室にいるので、大丈夫です」


『大丈夫です』とシュールも言うと『そうか。先ほど、メインシェルターを取り外すためのこちら側の作業が終わったので、あけた穴から作業終了のライト点滅の合図を送り、セカンドシェルター内に引き上げたところだ』


「報復の女神」のデセプトルが黒バラを高熱にしてメインシェルターの枠を半分溶かし、そこに残りの二体が、ケーブルを通すための穴をあけていた。


「そうですか。これで引き上げがうまくいけば、離陸を開始できますね?」


『そうだな。我々はメインシェルター引き上げが完了したら次へ向かうので、そちらで確認後、合図をくれないか? 今いる場所からメインシェルターが見えないんだ』


「承知しました。確認後、連絡します」

『連絡します』とシュールも言うので『ハハハ、よろしく頼む』


 離発着用の通路は、ドッグから通路に入るとセカンドシェルターまではまっすぐに伸びているが、セカンドシェルターから出ると通路は真上に伸び、ここで空気を抜いて気圧を調整後、無重力になったことを確認するとメインシェルターが開いて、上昇後、宇宙空間へ出る。


 ロイはセカンドシェルターの外に設置されている監視カメラに接続すると、メインシェルターの枠にあけられた穴に、星外からのケーブルが接続されていくところが映っていた。


『もうすぐ出られるんだね!』嬉しそうなシュールの声が聞こえてくる。

「まだ油断はできないけど、ここまで来ることができたのは、精神的に大きいね」


 穴から宇宙管理局の作業船と思われる宇宙船からのライトが漏れているため、映像も比較的ハッキリと見える。


 この映像は、イノンドが乗る宇宙管理局の艦と護衛艦でも接続されていて、全員、固唾(かたず)を飲んで作業を見守っている。


 ケーブルの固定作業が終わり、少しずつメインシェルターが引き上げられていくと、繋がっていた枠の部分の破片が散らばるが、無重力となっているので宙に浮く。


「あの破片を回収しないといけないな」


『どうするの? 誰かが宇宙服を着て回収するの?』とシュールが聞くので「いつの時代の話だよ」呆れるロイ。「今は、回収用ロボットがいるから、そんなことしないよ」


『そうなんだ』

「あれ? 前に見た映画は、そんなに前の時代の設定だったか?」


『タイムスリップして過去に戻った話だった』

「ああ、そうだったな」


 そうこうしているうちに、イノンドたちが対応したのか、残骸の回収ロボットが出てきて、長い腕を器用に動かして破片を回収している。


 その様子を星外でも見ていたのか、回収ロボットが戻ると、小型の宇宙船が降りてくる。


「コモン。メインシェルターの引き上げ完了です。次をお願いします」ロイが声を掛けると『了解した』セカンドシェルターが開く前に、高速で移動していく。


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