30-2 次々に起こる事件
「情報? 私に? どんなことかな?」
「今の話を聞いて、もしかしたら、と思う話を聞いてるの」
「そうなんだ。誰から聞いたどんな話?」
「コモンたちが助けてきてくれた、街に取り残されてた人達からよ。その中でも子供たちからなんだけど、私たちが迎えにいくまで待機してた倉庫にいたとき、数名の子供たちが、冒険心から倉庫の外へ出てたらしいの。その時、エアポートの建物を飛びこえる人影を見たと言ってるのよ」
「あの建物を飛びこえた? 本当なのか?」
「エアポート周辺は建物の明かりで外も比較的見えるんだけど、見間違えじゃないのか聞いたら、複数の子供たちが同じことを言ってたから、確かだと思うの」
「飛び越えたのは一名だったのかな?」
「それがね、三名いたらしいのよ。一人は背が高くて、もう一人は髪が長かったそうよ。背の高い人物だけがマントを着てて、あとの二人はパンツスタイルだったって言ってるの」
「「冥府の将軍」たちじゃないのかな? 確か、アシスタントの女性も一緒に来てたよね?」
「コモンはバリエガータと二名だから人数が合わない。それに、その時コモンたちは別の街へ、取り残された人達がいないか、アシストのバリエガータと一緒に行ってるから別人よ」
「そうか……では、犯罪者ではなく犯罪集団ということになるのか。まあ、単独ではないと思ってたけど、複数で動いてるのは確実らしいね……」
「どうする?」
「そうだな。ほかに奴らを目撃した人がいないか、聞き取りをしてほしい。もしかしたら、別の情報を持ってる者がいるかもしれないからね」
「そうね。じゃあ、新しい情報があったら、連絡する」
「頼むよ」
「それで、「復讐の女神」たちを捜索に行かせるの?」
「もう行かせてる、というか、存在をキャッチしたら、三体ともすっ飛んでっちゃったよ」
「……いくらマントを着てるとはいえ、誰かに見つかりでもしたら、顔を見た途端、ショック死するかも……」その場面を想像するバーネットが苦笑する。
「確かに、突然現れたらビックリするかな? まあ、ショックくらいで収まってほしいけど。でも、私にとって、これはまたとないチャンスなんだ。だから、彼女たちに期待してるんだよ」
「ああ、そうよね。長年追ってきた標的が近くにいるかもしれないんだもの。でも、十分注意してよ。あなたはケガ人なんだから、戦うことにでもなったら、ただじゃ済まないからね」
「わかってるよ。でも、捕まえることができたら、なぜロゼアを閉じ込めることになったのか、聞きだすことができるからね」
「そうなの? じゃあ、ぜひ捕まえて聞きだして!」
「もちろん。多少無理してでも捕まえるよ」
「もう、ケガを増やすようなことはしないでって、さっき注意したばかりなのに」
「ちゃんと気を付けるよ。そうだ。通信はこのまま切らずにいてくれないかな? 聞き取りしてる内容を私も聞きたいんだ」
「そう。じゃあ、聞き取りの間はこのままにしておくわね」
「ありがとう。途中で聞いてほしいこととかあったら、またバイブル掛けるから」
「わかった。じゃあ、またあとで」と言うと、『お医者のお姉ちゃん』と、ロゼアの声が聞こえてくる。




