29-3 謎の予告者
要約すると、
・黒くて赤い目をした大きな狼の群れの出現は悪い兆候。
・黒いマントを羽織った大柄な男が狼の群れを操り、破壊工作を始める。
・そのキッカケは、ある宇宙船の火災。
・それが合図となり、次々と破壊工作がいろんな場所で起きはじめる。
・最終的に、半分くらいの宇宙船が、破壊工作によって爆発するだろう。
・星外にいる宇宙管理局をはじめとする支援の宇宙船も、星の爆発に巻き込まれる。
「ナオは予知夢を見ることがあるのか?」ロイが聞くと「予知夢ですか?」
「未来に起こることを夢で見ることだよ」
「いえ。今までそんな夢は見たことがありません」
「他に、変わった事や気になった出来事の話をした者が周りにいたかな?」
「変わった事ですか? ……いえ、特にそんな話をした者はいませんでした」
「そうか、わかった。ありがとう。もし何か思い出したことがあったら、マーティに話してくれないか?」
「承知しました!」
苦笑するマーティが「ロイ、どうする?」
「この件はこっちで手を打つ。マーティはそのまま迎えに行ってくれ」
「わかった」
電話を切ると考え込むロイに『ロイ。ナオって人の夢に出てきた奴って、誰だと思う?』一緒に話を聞いていたシュールが小声で聞いてくるので「今、思い付くのは奴しかいないだろう?」ロイも小声で返す。
『奴って?』
「インサニアだよ。シュールだってそう思っただろう?」
『あ……うん』
「しかし、 奴はコモンと戦ったとき、大ケガして動けないんじゃなかったか?」
『すごいケガして、ずっとベッドに横になってたよ』
「ああ、シュールは奴のところにいたから、見てるんだったな。だったら、他の誰かに頼んだのか?」
『そうかもしれないね』
「俺たちのあとを追ってきたのか? それにしても、なにをする気だ?」
『きっかけは宇宙船の火災って言ってたけど、どの宇宙船なんだろう? エンジントラブルらしいようなこと言ってたよね? エンジン爆発したら、近くの宇宙船も爆発しちゃうんじゃない?』
頷くロイが「エル。イノンドに連絡して、ゲートナンバー五に停泊してる宇宙船のエンジンを、至急確認するよう伝えてくれ」作戦会議室の中央テーブルで、ナオの話を一緒に聞いていた、向かいに座っているエルに声を掛けると「夢の話を信じるの?」少し怪訝そうな顔をして「ちょっと現実離れしてると思うけど」
「なにもなければそれでいいじゃないか。万一のために、確認しとくほうがいいだろう?」
「それはまあ、そうだけど」と言いつつ、渋々キーボードを出して連絡を取りはじめる。
(絶対リシェルじゃない。でも、どうしてリシェルが変装したときの格好や、しゃべり方を知ってるんだろう?)考えるシュール。(そういえば、バーネットがリシェルと話したはず。あとでどんな話をしたか、聞いてみよう)




