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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
十三章 老い先短い星
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28-5 残された人の救出

 

「狼のあとをですか?」困惑するドライバーを無視して、目の前にいる狼に案内するよう合図を送ると、(きびす)を返して走り出すので「行ったぞ」オロオロするドライバーに声を掛けると「あ、はい!」急いでエンジンをかけ、トラックを走らせる。


 狼たちはニ・三十頭はいる群れで、トラックを取り囲むように走っている。


 後部座席に座っているバーネットは横の窓から脇を走る狼たちを見て「アニスが夢で見た、エアポート内を走ってる大きな黒い犬って、この光景だったのかしら?」


「そうかもしれないな」助手席のマーティも、脇を走る狼の群れを見る。


 途中、何回も停泊している宇宙船に乗り込むため、列を作って並んでいる住民たちを右奥に見ながら走っていくと、使われていない臨時の駐車場で狼たちが止まるので、マーティはトラックを停め、外に出てコモンが言ってたことを思い出す。


『出入り口横にある、建物横の倉庫にいてもらう』


 マーティはバーネットを連れて出入り口横に建つ受付窓口がある建物のほうへ向かい、裏に回って倉庫を見つけると、右端にある出入り口のドアを開ける。


 すると、中には古めかしいランプがいくつも置かれた広い場所に、段ボール箱を敷いた上に座る人や横たわってる人などがいて、一斉にマーティたちのほうを向く。


「連絡を受けて助けにきた」とマーティが言うと「黒いお兄ちゃんたちが言ったとおりだ!」大声で数名の子供たちが走り寄ってくる。


「本当に来てくれたんだね!」体のあちこちに包帯を巻いている小学生くらいの子供たち。

 聞けば、塾にいてビルが倒壊したために、閉じ込められていたという。


「痛かったでしょう?」バーネットが一人ずつケガの具合を見ていくと「お姉ちゃんはお医者なの?」腕の傷を見ている男の子が聞いてくる。


「そうよ。これからお姉ちゃんたちの宇宙船に行きましょう」


 すると、横からマーティが「よく頑張ったな。星から出たら家族を捜そう」と言うと「うん!」元気よく返事をする。


「黒いお兄ちゃんたちは、もういないの?」頭に包帯を巻いた女の子が聞いてくるので「他の街に、残されてる人がいないか見にいってる」


「あの不思議な乗り物で?」

「そうだ。でも、見てない人はわからないから、内緒にしとくんだぞ」

「そうなんだ。わかった」


 その後、倉庫のシャッターを開けるとトラックのドライバーが気付き、トラックを入り口前に横づけすると、荷台から医者や看護師が降りてきて、手前にいる人から応急処置を始めると、トラックに運んでいく。



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