21 就業手配
翌朝。
ロイが朝食を取って作戦会議室へ行くと、エルとマーティが今後の進路について話し合っていた。
「おはよう。二人とも早いな」
「おはよう。ちょっと気になることがあってね。マーティに無理言って早く来てもらったんだ」
「俺なら大丈夫だ。後頭部のコブ以外はな」
「二人とも後ろから殴られたんだって?」
「そう。本当、腹立つよな。昨夜は痛み止めのスプレーをかけて寝たよ」
ロイが二人の向かいに座ると「昨日届いた宇宙気象局のデータを見てたら、進路に当たるエリアに磁気嵐ができかかってるんだ。
このまま進むと危ないから、進路を変更して、余分にかかる時間をワープで調整することにしたんだ」エルが気象データが表示されているタブレットを渡す。
「急ぐときほどスムーズにいかないな」データに目を通すと「こればかりは、誰にも文句が言えないからな」マーティがコンピュータの前に座り、進路修正の計算を始める。
「マーティがいてくれて助かるよ。さすが宇宙管理局の通信交通運用課在籍。乗組員として、すごく頼りになる」と言うエルに「確かに」同意するロイ。
「出たぞ」エルとメインパイロットのセイボリーへデータを送ると「マーティ様々だよ。とても助かる」隣に立つロイに「そうか?」飲みかけのコーヒーを飲む。
三日後。
ブラントに呼ばれて彼の部屋を訪ねると、元部下の五人の警官たちが来て何やら話し込んでいた。
「出直そうか?」
「ああ、大丈夫だ。まあ、座ってくれ」
勧められたソファに座ると「何か仕事をくれないか? 暇で、暇で、何かしてないと落ち着かないんだ」
「もう少しノンビリすればいいのに、と言いたいけど、気持ちはわかるよ」
「無理言って悪いな」
「そういえば、お袋さんの具合はどうですか?」ブラントの隣に座っている例の長身の元警官に聞くと「お陰様で、ここに来てから顔色が良くなってきました。先生の診断によると、リハビリを頑張れば歩けるくらいまで回復するかもしれないと言われて、喜んでます」
嬉しそうに話すので「そうですか。それはよかったですね」ロイも笑顔になる。
「で、仕事のことだが」ブラントが話を戻すので「もう少し落ち着いてから話そうと思ってたんだけど。とりあえず、手伝ってほしい部署をピックアップしてるから、あとでリストを渡すよ。それを見て、興味のあるところにエントリーしてくれ」
「あの、自分たちもエントリーしていいでしょうか」長身の元警官が遠慮がちに聞くので「もちろん。あとでブラントに送るメールから、内容を確認してエントリーして」
「わかりました」
「リストは今日の午後にでも送るから。仕事先が決まったら連絡するよ」
部屋から出て作戦会議室へ行くと、エルにリストをブラントへ送るように伝える。




