22-3 もう一つの連絡先
「なんとかして、星の外側からシェルターを取り外すことはできないのかしら?」
『けっこうメンテナンスを怠ってたようだから、影響を最小限にしながら分厚いシェルターを取り外すのは難しいと思うよ。万が一、取り外している途中でシェルターが中に落ちてしまったら、地面に落ちたときの衝撃が振動となって、アウトだろうからね。それこそ、リスクが八十パーセントくらいありそうだし』
「リシェル。やけに機械化された星について詳しいけど、人間の世界に住んでたことがあるの?」
『あるよ。長期間ではいないけどね』
「あら、そうなの」
『そういえば、君たちを護衛してる宇宙管理局の艦も一緒なんだろう?』
「ええ、一緒に閉じ込められてる」
『では、電磁波が強くなって交信ができなくなる前に救助連絡をしてるだろうから、今ごろ星の周りには、宇宙管理局の艦が集結してるだろうね』
「ああ、そうだと思う」
『それでもシェルターを開けることができないのは、どの方法もリスクが高いからだろうね』
「……そう、ね」
『参ったな……』
「……無理?」
『諦めるのは早いよ。まだ三日あるんだろう?』
「そうだけど……」
『必ずなんとかするから』
「……」
『ほら、大丈夫だから』
「……」
『今、地下都市はメイン発電所が止まってしまって、真っ暗なんだよね?』
「……ええ、そうよ。エアポート近くは、停泊してる宇宙船の明かりで、なんとか見える程度」
『夜モードって感じかな?』
「……そうね」
『星の住民はどうなってるのかな?』
「公害指定星ということもあって人口が減ってたから、停泊してる宇宙船と星が所有してる船に分散して、なんとか全員乗船できるみたいだと聞いたわ」
『それはラッキーだったね』
「それは、この星から脱出できたらよ」
『できるよ。私がなんとか考えるから』
「……お願い」
『人間はなんとか乗船できるようだけど、その他の動物とか、ペットは?』
「ペットは受け入れてくれる船があって、そこに集められてると聞いたけど、他の野良猫や犬は無理だって」
『愚かな人間が壊した星の犠牲になるのは、愚かな人間だけでいいはずなのに』
「それ、マーティも言ってたわよ」
『彼とは話が合いそうだね』
「あら、そうかしら?」
『まあ、彼らともいろいろあったけど、とにかく、星の外側からシェルターを取り外すことがダメなら中から対応するしかないけど、そのことは検討したんだよね?』
「停泊してる宇宙船のクルーから案を集めて、イノンド、護衛してくれてる宇宙管理局の人と分けてロイとマーティが検討したけど、リスクが高くて実行できるものがなかったと聞いたわ」
『そうか……なかなか突破口が見つからないな……』
「……どうしてこんなことに巻き込まれちゃったのかしら? チャービルさんたちはとっくに影の森に帰ったのに、私たちは、ちょっとの差で閉じ込められてしまうなんて……」




