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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
十三章 老い先短い星
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20 救世主はエル?

 

「万策尽きたとは思いたくないが……」ため息を吐くマーティ。「クラリー夫人たちを巻き添えにしたくないからな」

「……わかってるよ」俯くロイ。


 二人にとって、一番の気がかりは、縁があって途中で乗せてきた人達。


 アグリモニー星で乗せたロベージやクレス。そして、クラリー夫人と夫妻が管理していた赤レンガのアパートの住民。


 バーネットや彼女の叔父など、科学者や医療関係者が拉致、監禁されていた、ウッドラフ星の王宮の裏庭にあった、地下研究所内の牢屋に閉じ込められていた帰るあてのない孤児など。


 彼らは見違えるほど元気になり、勉強しつつ、移住先を探しているところだった。


『私の力がもっと強かったら、シェルターの一つや二つ、ぶち抜くのに……』


(そんなことしたら、衝撃であっという間に地殻が動いて、大爆発して終わりだよ)


 エルがいるので言い返すことができず、ロイとマーティが苦笑していると「そういえばロイ。左手の人差し指にしてる指輪、どうしたの?」向かいに座っているエルが、両手でカップを持つロイの指を見て「黒い石が付いた指輪なんてしてたっけ?」


「ああ、これは「幻想の星」に行ったとき……もらったんだ……よ……」


『アーーーッ!』叫ぶシュール。

「そうだ!」大声を出すマーティ。


 立ち上がるロイが走って食堂から出ていくと『やっぱりエルだよーッ! すごいよーッ!』感動の涙を流していそうなシュールの声が聞こえてくる。


「エッ、エッ? ど、どうしたの?」エルが戸惑っていると「本当にエルはすごいな。俺たちよりずっとすごいことに気づくじゃないか!」マーティがエルの肩を叩きながら異様に褒めるので「ちょっと気持ち悪いよ」少し引き気味のエル。



 ロイは自分の部屋に戻るとリビングのソファに座り、黒曜石が付いた指輪を見る。


(あの時、コモンはなんと言ったんだっけ?)


 ロイは黒曜石の指輪をもらったとき、教えてもらった連絡方法を思い出そうと集中する。


『その黒曜石に俺の力を封じ込めてあるから、どこにいても、指輪を通して、私と話をすることができるようになってる。

 連絡を取るときは黒曜石を右へ二回、左に三回まわせば、このブレスレットに連絡が来る』左腕の黒曜石がいくつも付いているシルバーのブレスレットを見せる。


「それも、影の森に住むソレルの作品ですか?」

『そうだ。特注で作ってもらった』


 ロイは指輪の黒曜石をつまみ、右へ二回まわすとカチッカチッと音がして、左に三回まわすと、またカチッカチッカチッといって黒曜石の中が光りだす。


『どうしちゃったの? 電気点いたよ』シュールが聞いてくるので「僕にもわからないけど、電気は点いてないと思うぞ」


 まるで、黒曜石の中にあるスイッチを入れて電気を点けたみたいに光る石を見ていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。


『尋ね人か?』

「コモン!」

『コモンの声だ!』


『どうした? さほど先には進んでないだろう? どの辺まで行ったんだ?』


「助けてください!」

『助けて!』


『なんだと。なにがあった?』


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