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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
十三章 老い先短い星
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18-4 迫る恐怖との戦い

 

「マーティ! 電磁波を測定!」

「やってる! 前より確実に上がってるぞ!」

「外に出てる人達を宇宙船に避難させろ!」


「ロイ! イノンドの艦の通信担当から連絡が来たよ! 停泊してる宇宙船の協力で、なんとか全住民を宇宙船に乗せることができたって! でも! 地殻全部が先ほどの地震で動き始めたから、これから大きな揺れが起きるので注意しろって!」


「街中の予備電源の爆破の件は!」


「ロイ。装甲車が走ってるぞ」作戦会議で3Ⅾモニターに映る映像を確認しているマーティが呼ぶので、会議室へ行くと、数台の装甲車が炎上している街中の現場にいて、数名が消火活動を行っている。


「あれは宇宙管理局じゃない。どこの所属だ?」

「もしかしたら、停泊してる宇宙船の誰かが、救助に行ってくれたのかもしれない」


 消火を確認した作業服の人達が、監視カメラに向かってOKサインを出している。


「手慣れてるな。装甲車といい、普段はなにをしてるんだ?」


 しかし、またしても地震が起きて、グラ~グラ~グラ~ッと大きな波のように揺れはじめた。


「掴まれ!」中央テーブルに掴まるロイ。


 映像に映る街中の現場でも、道の真ん中へ集まってしゃがみ、揺れが収まるのを待っている。

 今回の揺れはさほど長くはなく、すぐに収まったが、揺れる間隔が確実に短くなってきた。


 ロイはエルに連絡すると「出入り口のシェルターの調査結果が出たか、イノンドに聞いてくれ」

“ わかった ”


 返事を聞くと、ため息を吐いていつもの席に座る。



 午前二時。


 混乱状態にあったが、受け入れ者を迎えにいった救助班は、途中で会った装甲車に道を作ってもらい、一緒にエアポートへ戻ってきていると連絡が入り、街中の爆発で負傷した作業員たちも、無事に自分たちの宇宙船に戻ったと、イノンドの艦の通信担当から連絡がきていた。


 あれから小康状態なのか、地震がないため、メインパイロットのセイボリーが夜間担当のオリバと交代すると、エルも交代要員のタンジーと引継ぎを行い、部屋に戻るかと思ったら、作戦会議室へ入ってきた。


「なんだ、まだいたのか?」3Ⅾモニターに映るこの星のデータを見ているマーティが、エルに気付く。


「今、タンジーと交代したんだ」

「なら、部屋に戻って休め。勤務時間を大幅に超過してるぞ」


「なに言ってんだよ。こんなときに休めるわけないだろう?」サーバからコーヒーを淹れるといつもの席に座り「どんな感じ?」と聞く。


「他の船からいろんな案が出てきたので、イノンドたちと分けて一つずつ検証してるけど、どれもリスクが五十パーセント以上あって、実行できるものがなかった」頭を抱えるロイが答える。


「……そう。いよいよ切羽詰まってきたね」

「……なにか、思い付いたことがあるか?」


「ロイたちが思いついたことが使えないのに、僕がそれを上回る案を出せると思うの?」

「出してほしいね」


「出せるとしたらアニスじゃない? そういえば、アニスはどうしたの?」


「クラリー夫人たちに付いててもらってる。というか、クラリー夫人たちに、アニスに付いててもらってると言ったほうがいいか」


「ああ、なるほどね」コーヒーを少しずつ飲みはじめるエル。


『ロイ。マーティも、なにか食べたほうがいいよ。コーヒーばかり飲んでたら、胃が悪くなるよ』シュールが心配するので「そうだな。気分転換になにか食べるか」マーティが立ち上がると「僕も付き合うよ。一緒なら食べられると思うから」エルも立ち上がる。


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