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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
十三章 老い先短い星
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18-1 迫る恐怖との戦い

 

 各部署からの返事は意外と早く、物流部からは、大型トラックを十台、中型運搬車を十五台出せると連絡があり、医務局からは、十名の医者と看護師が名乗りを上げてくれた。


 出発準備が整った午後九時過ぎ、受け入れる予定の人達が住む街へ向けて、トラックが出発する。



 その後、ロイたちが連絡を取り合っている、イノンドが乗る宇宙管理局の艦の担当者から、停泊している各宇宙船が、できるかぎりの人数を受け入れると承諾してくれたため、順次割り振って移動を開始したと教えてくれた。


” シェルターを開けてから、救助に来てくれた宇宙船が着陸するには、先に停泊してる宇宙船が離陸して場所を空けないといけません。しかし、今はそんな時間がありませんから、停泊してる宇宙船に、できる限りの住民を乗せて脱出するしか、選択肢がないんです "


「それはそうですが、この星が所有してる宇宙船はどうしたんですか? 観光船でも運搬船でも、航行に支障がなければ使えるはずですよね?」


 ロイが、中央テーブルの3Ⅾモニターに映る担当者に聞くと “ もちろん、現役で動いている船はすでにギリギリの人数が乗船しています。しかし、ご存じだと思いますが、メンテナンス費用に限りがあって、使える宇宙船が限られているんです ”と、苦笑する。


「人間が乗せられないのであれば、動植物を乗せればいいのではありませんか? そこのところはどうしてるんですか?」


“ ペットとして飼われてる動物は、いくつかの宇宙船が乗せてくれることを承諾してくれましたので、手配してますが、その他は、諦めてもらってます……”


「この星に、動物園や植物園はないのか?」マーティが聞くと “ 環境破壊が起きて機械化になった後は、飼育が大変だということで近隣の星へ移動したため、今はないそうです ”


「それは不幸中の幸いだな。愚かな人間の犠牲になるのは、愚かな人間だけでいい」


『街路樹や、街中に生えてる草木だって生きてるんだよ。それに、野良の犬や猫だっていたよ』シュールが悲しそうに言うので「……そうだな」としか言えなかった。


 担当者が、これからほかの住民を移動させるための手続きをはじめるというので通信を切り、コーヒーを淹れなおすと、ロイはバーネットに電話を掛けた。


「そっちの様子はどう?」


“ 受け入れる患者や介護者のカルテを先に送ってもらったから、症状別に分けて、態勢を整えてあるわよ。大型の医療機器があって助かってる。医療ロボットも万全だから、来るのを待つだけ ”


「ありがとう。いつも負担を掛けて申し訳ない」

“ 当然のことだから、謝る必要ないっていつも言ってるでしょう? それより、脱出のほうはどうなってるの? ”


「それは、まだ解決の糸口が見つからないんだ」

“……そう ”


「まだ若干の猶予があるから。とにかく、そっちのことは頼んだよ」

“ わかった “


 電話を切るとため息を吐き「本当に、出られるんだろうか?」ロイが呟くと「出るんだよ。なんとしても!」隣に座っているマーティが言い返すと『まだ諦めるのは早いって、誰か言って!』大声を出すシュール。


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