17-1 星からの脱出 アニスの夢 続編
次の日の朝、午前八時半。
ロイとマーティが作戦会議室で朝食のサンドイッチを食べながら、脱出のための方法について話していると、アニスが一人で入ってきた。
「ロイ、マーティ。また、夢、見た」疲れた顔をしているので「本当! 続きの夢? どんなことだった?」隣の席に座るよう手を出すと腰かけ「でも、どういう夢、なのか、よく、わからない」と困った顔をする。
「大丈夫。僕たちが分析するから、見たとおりに話して」アニスのほうを向いてゆっくり話すと、マーティがアニスのコーヒーを持ってきて「まずは、どんな夢だったか話してくれ」アニスに渡すとロイの隣に座る。
「どう言えば、いいか……ここに、たくさんの人、乗ってて、照明、薄暗かった」
「ここって、この艦?」
「……うん」
「たくさんの人って、この星の住民ということか?」
「……たぶん」
「艦内の照明が暗かった? 電気系統が故障したのか? あるいは、電力の消費を抑えるために節電してるのか?」マーティが選択肢を出すと「たぶん後者だろうな。アニス、ここに居た人達はどんな様子だった? 座ってた? 横になってた?」
「それは、横、なってた。ベッドに、横になってる人、いた」
「なるほど。そういうことか。では、その前にイノンドから連絡でも来そうだな」
「ああ、来るだろう。たぶん、各宇宙船に乗せてくれと依頼してくるだろう」
「なぜ、イノンド?」不思議に思いながらコーヒーを飲む。
そこへバーネットが入ってきたので「ああ、ちょうどいいところに来た」ロイが声を掛けると「あらアニス、もう来てたの?」
「夢の続きを見らしいんだ」
「本当!」カップにサーバーのコーヒーを淹れてアニスの隣に座ると「どうやら、介護や看護が必要な人達を引き取るらしい」
「引き取る?」
ロイの予想どおり、その日のティータイムにイノンドから連絡が来た。
リビングではなく作戦会議室で、午前中に引き続き、脱出するための方法を模索していたとき、エルから回線が回ってきた。
中央テーブルの3Ⅾモニターにイノンドが映ると “ 会議中にすみません。急ぎ依頼したいことがありまして ”
「いいですよ」
“ ハ? ”
「介護、看護が必要な人達の受け入れですよね?」
“どうして知ってるんですか!” 大声を出すイノンド。
「昨夜、アニスが夢を見たんですよ」
“ アッ! もしかして例の? ” マーティの隣に座っているアニスを見る。
「はい。医務局には、受け入れ態勢を整えといてくれるように頼んでありますから。何名ですか?」
“ あ……いや、参りましたね。本当に、アニスの予知夢はすごいですね ”
「いえ、そんな……」
“ あなた方の艦は大型なので、ちょっと多く乗せていただきたいんです ”
「五百名くらいですか?」
“ エエッ! アニス。どこまで夢で見たんですか? ” さすがのイノンドも、今回はアニスの予知夢がどのくらいすごいのかを実感する。




