15-1 カウントダウン開始
中央テーブルに座るマーティが「期限はあと五日だ」と言うので『イノンドが、打つ手がないって言ってくるんだよね?』シュールが確認すると「そうだ。そして、アニスが見た最後の夢だ」
『最後の夢……』不安そうに呟くシュール。
「それにしても、どうしてここだけ、アニスが見た夢と違うんだ?」考えるロイ。「アニスが爆発を知らせてきたとき、僕たちはここで、イノンドと話をしてることになってたはずだ」
「俺たちが違う行動を取ったからじゃないか?」考えを話すマーティ。「アニスの話を聞いて、本来起こるべき筋道と違う行動を取ったために、筋道が変わったんじゃないか?」
「なるほどな。まあ、その説明が一番納得できそうだな」
『アニス。この続きは見てないの?』シュールが作戦会議室で待っていたアニスに聞くと「見てるかも、しれない、けど、覚えて、ないから……」
『そっかぁ』
「バーネットに、また、催眠術、掛けてもらう」
「ダメだ!」マーティが止めるので『なんでダメなの? バーネットに聞きだしてもらえば、何かわかるかもしれないんだよ』
「さっき、アニスの夢と食い違ってると言っただろう。わからない部分を聞き出したとしても、そのとおりになるとはかぎらないんだ」
『……そっか』
「アニス。クラリー夫人のところへ行って、今の衝撃でケガをした人がいないか、確認してくれないか?」
「でも……」
「あとで報告を頼むよ」
「……ええ」
アニスが会議室から出ていくと、ケガ人の治療応援に行っているバーネットの携帯に電話をかけ、アニスが来ても、催眠術で夢のことを聞きださないように伝える。
『ねえ、いくらアニスの夢と違ってきてるといっても、少しだけだし、大きな流れは変わらないんじゃない?』
「最初に催眠術を掛けたあと、バーネットがなんて言ってたか覚えてるか? これ以上聞きだすと、アニスの精神が壊れてしまうかもしれないと言っただろう?」とマーティに言われ『アッ! そうだった』
そこへ、イノンドから通信が来たと、コントロール室に戻っているエルが知らせてきた。
中央テーブルの3Ⅾモニターに、暗い表情のイノンドが映る。
「間に合いませんでしたね」ロイが声を掛けると “……はい ” ため息を吐き “ アニスの夢の中で、私が言ったセリフを言うときがきました。期限はあと五日。打つ手が、ありません…… ”
「事態は変わってないのか」頭を抱えるマーティ。
「期限というのは、この星が爆発するまで、ということですね?」ロイが確認すると “……そうです ” と頷く。
「出入り口のシェルターは調べたんですか?」
“ はい。完全に動きません ”
「全部?」
“ ……そうです ”




