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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
十三章 老い先短い星
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14-2 進む異変

 

 イノンドの艦に通信を繋ぐと “ ロイ、大丈夫ですか? ” 真ん中のモニターにイノンドが映る。” 足場が崩れて、艦が傾いたと聞きました ”


「そちらの通信担当の方に誘導してもらって、イノンドの艦の右隣に移動してきたので、大丈夫です」


” そうですか。足場が崩れるなんて聞いたことないので、驚きましたよ ”


「ケガ人が多数出たので詳細の確認を取ってますが、死者、重傷者の報告はありません。それよりイノンド、すぐにメイン発電所を調べてください」ロイはわかったこと伝え「一刻を争います。アニスの予知夢から考えると、次にここが止まります」


“ わかりました。すぐ手配します ” 隣にいる隊員に指示を出し “ 今日の午後二時に非常事態宣言が発令されます。港に停泊してる宇宙船にも、すぐに離陸許可が出るでしょう ”


「やっと動いたか」

『やっと動いたよ。遅い』文句を言うシュール。


“ 仕方ありません。今の今まで、このような状態になってることを知らなかったんですから ”


「知らなかったって、あれだけ何回も地震が起こってたのに」

『ちょっと鈍感すぎだよ!』注意するシュール。


“ 環境保全委員会が、虚偽(きょぎ)の報告をしてたんです ”


『ロイ、虚偽(きょぎ)って何?』

「今さらどうこう言っても始まりませんが、ウソの報告をどのくらい続けてたのか、解明する必要がありますよ」


“ わかってます。とにかく、そちらも離陸許可が出たら、すぐに出発してください ”


「イノンドはどうするんですか?」

“ 私たちは、できるかぎり残って、住民の避難誘導を行います ”

『イノンドたちは残るの! 危険だよ!』


「宇宙管理局に連絡したんですか?」

“ してるんですが、繋がらないんですよ ”


「どうして?」

“ この星の電磁波エネルギーが異常に上がってて、電波を妨害してるようです ”


「電波を妨害するほどのエネルギーを放出してるんですか?」

“ そうです ”


「それは非常に危険な状態ですよ!」


“ わかってます。これから他の船にも通達を出しますが、ロイの艦も電磁波の障害対策を取ってください ”


「わかりました」


“ では ” と言って通信を切る。


『電磁波の障害って、どんなことが起こるの?』話を聞いていたシュールが不安そうに聞くので「軽いものでは、イノンドが言ってた外部との通信ができなくなる。電磁波のエネルギーが大きくなってくると、電気系統がショートして止まってしまうので、それを防ぐためにシールドを張って、影響を受けないようにするんだ」


『じゃあ、シールドを張ってれば、艦は大丈夫なんだね?』

「ある程度はね」


『……ある程度を超えたら、どうなるの?』

「星が破壊される」


『星が破壊! ダメじゃんかあああ!』


「だから、そうなる前にこの星から出るんだ」

『イノンドを置いてくの!』


「僕たちにはクリアしなければならない大事な目的があるし、この艦にはクラリー夫人たちをはじめ、大勢の人が乗ってるんだぞ」


『そうだけど……』

「出発まで、できることはやる」


 ロイはエルに声を掛け、出発許可が出たらすぐ離陸できるように、スタンバイしておくよう伝える。



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