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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
十三章 老い先短い星
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12-1 迫りくる危機

 

 ロイとマーティはいったん自分たちの部屋へ戻り、荷物を置くと作戦会議室へ向かった。


「お帰り! 無事でよかった」ロイたちに気付いたエルが作戦会議室へ入ってくると「アニスとバーネットはどうしたの?」


「戻ってくる途中でアニスが具合を悪くして、バーネットが部屋へ連れてったよ」自分で入れたインスタントコーヒーを持ち、中央テーブルのいつもの席に座ると「大丈夫なの?」エルも、ロイの向かいのいつもの席に座る。


「バーネットが薬を飲ませてたから、大丈夫だよ」


「それならいいんだけど、不安になっちゃったのかな? ああ、今回の地震の報告書がきてるよ」ロイのタブレットに送信すると「なんだって?」内容を読んで驚く。


 その報告書はこの星の管理局が送ってきたもので、今回の地震は危険性がないので、安心するようにと書いてある。


「あれだけ頻繁に地震が起きてるのに、どこが危険性がないんだよ!」呆れた内容に気が遠くなりそうだが、隣に座っているマーティにタブレットを渡すと同じように呆れ「基礎データを改ざんしてた管理局の報告書なんか、当てになるか。エル、調査はどこまで進んでるんだ?」


 二人の表情を見て苦笑すると「この星の地震研究所にアクセスして、過去三十年間に起きた地震の資料を引き出したんだ。それを基に、この星の地殻変動と照らし合わせて、今、この星がどういう状態なのか、コンピューターで分析してる最中だよ」


「それで、いつ結果が出るんだ?」

「もう少し掛かると思う」

「そうか……」ため息を吐いてコーヒーを飲む。


「その他は?」ロイが聞くと「緊急時に備えて出発許可を申請したし、外に出てるクルーに、すぐ艦に戻るよう手配したよ」


「今の段階で、戻ってきてないクルーはいるのか?」

「いないよ。ロイたちで全員揃った」


「あとは、イノンドからの連絡待ちか」

「なにを言ってくるのか、聞きたくないことの可能性が高いな」


「イノンドのほうにも、このバカらしい報告書が届いてるんだろう?」ロイがタブレットを指すと「届いてたよ。この報告書が送られてきてすぐに、向こうの通信担当から連絡がきた」


「そうか。とにかく、いつでも出発できるように、再度、各部署に手配しといてくれ」

「出発準備は整ってるよ」

「さすが、準備万端か」


「じゃあ、僕は分析データの進捗を見てくるよ。結果が出たらタブレットに送るから」エルが会議室から出ていくと「ロイ。リビングに行かないか? レギュラーコーヒーが飲みたい」マーティが立ち上がる。


 紙コップをごみ箱に捨ててホルダーを元の位置に戻すと、会議室から出てリビングへ向かった。



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