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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
十三章 老い先短い星
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11-1 始まる異変

 

 バーネットと黒髪の部下が人数分の飲み物を買ってくると、アニスに鎮静剤を飲ませ「少し横になったほうがいいわね」さらにリクライニングを倒す。


 その後、バーネットと場所を代わるマーティがロイの向かいの通路側に座ると、イノンドと話を続ける。


「今回はかなり深刻だぞ」

「早く原因を突き止めないと、取り返しのつかないことになりそうだな」


「地殻の変動が地震を引き起こしてることはわかってます。問題は、地殻の変動がどのくらいの規模なのかですよ」


「タクシーの運転手の話から考えると、だいぶ前から地震が起きてるらしいからな」

「ここの住民たちの慣れようを見てもわかるよ」


「ただの地殻変動じゃないな」

「どこかで不均等な圧力が掛かってるんじゃないでしょうか?」


「それも、人為的なものでしょうね」

「考えらえるのは、地下都市を作ったことですか」

「俺もそうだと思う」


「もう少し情報が欲しいな。今の状態では、原因が何なのか、推測の域を出ない」困った顔をするロイがバーネットに「アニスは?」と聞くと「眠ったわよ」


「もう少しアニスから聞き出せないかな?」


「無理よ。彼女が部分的にしか覚えてないのは、強い衝撃があったからだと思う。思い出したくないために、潜在意識がその部分の記憶を消した可能性があるから、無理に引き出そうとしたら、アニスの精神が壊れてしまう」


『それは絶対ダメだよ!』止めるシュール。


「アニスがそんな状態だとすると、相当なことが起きるということだな」

「でしょうね」寝ているアニスを見るバーネット。


「これから、最悪のケースを考えて行動しないといけないぞ」

「わかってる。けど、まだ若干の猶予があるはずだ」


『猶予はない! すぐこの星から出る!』結論を出すシュール。


 この時、またしてもリニアが止まった。


「ここは駅じゃないぞ」ロイがバーネット越しに窓の外を見ると、突然、グラグラとリニアが揺れはじめる。


「地震だ。かなりデカいぞ。頭上に気を付けろ! 荷物が落ちてくるぞ!」マーティが注意すると、バーネットがアニスの上の棚に乗せてある荷物を見るので、ロイが棚に掴まりながら奥へ押しこむ。


「今回は揺れる時間が長いな」手置きに掴まるロイ。

「しかも、リニアが揺れるくらいだ。外では相当揺れてるはずだぞ」


 さすがにここまでの揺れは経験したことがないらしく、他の乗客たちが騒ぎはじめる。


“ お急ぎのところ、大変ご迷惑をお掛け致します。ただいま地震が発生しております。安全確認のため、しばらくこの場所に停車いたします。確認が済みしだい発車いたしますので、しばらくの間、ご辛抱くださいますようお願い致します ”


 アナウンスが入り、しばらくして揺れが収まってくると、車掌が各車両を回って、異常がないか確認をはじめた。


『やっぱり危ないよ。早く艦へ戻ろう』不安になるシュール。

「揺れは治まった。もう大丈夫だよ」小声で声を掛けるロイ。


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