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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
十三章 老い先短い星
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10-2 アニスの予知夢 更新


“ロイ! 大変なことが起きてるよ! ” 電話に出るエルが大声を出すので「この星の地殻のことだろう? イノンドから聞いたよ」


“アッ、そうなんだ。もう少ししたら詳しいことがわかるから、その時に連絡しようと思ってたんだ ”


「今、艦に戻ってるところだ。何事もなければ夕方頃には着くから、外出してるクルーにすぐ戻るよう連絡と、離陸できるように各機関に手配を。それと、星の地殻データをまとめといてくれ」


“わかった。気を付けて戻ってきてよ ”

「ああ。戻るまで艦を頼むよ」


 席に戻ると「エルのほうでも、例の情報を掴んでたよ。今、詳しく調べてるそうだ」


「……パイプ」


「アニス、どうした?」向かいに座っているマーティが聞くと、アニスは窓の外を見て考えこみ「パイプ……」と繰り返す。


「何か思い出したの?」隣のバーネットが声を掛けるが、アニスの耳に入っていない。俯いて考え込んでいる。


 その為、アニスが何か言ってくるまで待っていると、突然、顔を上げ「大変!」


「シッ! 大声を出すな」マーティがアニスを押さえると「大変なこと、起こる!」慌てだすので「大丈夫だから落ち着け」


「どうしたんですか?」騒ぐ声を聞いてイノンドが声を掛けてくる。


「アニスが何か思い出したらしいんですよ」ロイが説明すると「どんな事ですか?」部下たちと一緒に身を乗り出すので「アニス、なにが大変なんだ?」マーティが落ち着いた声で話し掛ける。


「前に、どこかの工場、爆発する、言った」

「場所がわかったのか?」


「さっき、外から見える、大きなパイプ、見て、思い出した。湖、近く。ううん、エアポート、近く。私、艦から、爆発見た!」


「なんだと!」

「エアポートの近くというと、対岸の化学工場か?」周辺の景色を思い出すロイ。


「ハッキリ、わからない、けど、大きなパイプ、湖沿い、何本もあって、それ、一本ずつ、爆発、していく」


「イノンド」ロイが隣の彼を見ると、すでに席を立って、デッキに向かいながら携帯でどこかに電話していた。


「アニス、私たちも一緒に見てた?」バーネットが落ち着いた声で聞くと「ううん。私、一人だった。だって、怖くなって、会議室、いる、ロイたちの、ところ、走ってった、から」と言いつつ、落ち着かずにソワソワしている。


「爆発を止められると思うか?」ロイが隣のマーティに聞くと「アニスの予知夢は確かだからな。難しいだろう」


「ほかに思い出したことはある?」バーネットが聞くと首を横に振るので「もう少し、ほかの部分を思い出してくれるといいんだけど」ロイが困った顔をすると「やってみる」バーネットがカーテンを閉めだす。


「なにをするんだ?」


「催眠術を掛けてみる。アニス、怖くないから大丈夫よ。ただ、少し思い出すだけだから」

「でも……」


「さあ、深く腰掛けて体の力を抜いて」アニスの椅子を少し倒すと深く腰掛け、フゥッと息を吐く。




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