10-1 アニスの予知夢 更新
その後、ロイたちはリニアが通っている駅まで戻ってレンタカーを返すと指定席のチケットを買い、改札を通って通路を歩いているとき、イノンドの携帯が鳴った。
少し離れた所へいって電話に出ているイノンドの声が、徐々に大きくなっていく。
「何か起きたな」マーティに話し掛けると「イノンドがなんと言ってくるかで、アニスの夢が解明できるだろう」
少しして、イノンドが深刻そうな顔をして戻ってきた。
「何があったんですか?」ロイが聞くと彼は深刻な顔をして「大変な事態になってることがわかりました。この星の地殻が、爆発する危険性が出てきたらしいんです」
「何だって!」耳を疑いたくなるロイが「それで、このところ地震が続いてるのか」
「俺が調べた星の基礎データは、そんなに悪い数値じゃなかったぞ」
「データを改ざんしてるんだ。そうなると、かなり深刻な状態だと考えたほうがいい」
「とにかく、急いで艦に戻りましょう」アニスと一緒に話を聞いていたバーネットが声を掛ける。
ホームに上がると、平日の昼間という時間のせいか待ってる人はそれほど多くなく、時刻どおりに入線してきたリニアに乗り込むと指定席に座る。
ロイは座席を回転させてアニスたちと向かい合わせにすると、通路を挟んだ隣の席に座るイノンドたちも、座席を回転させて向かい合わせに座る。
「先ほどの話はまだ公になってないので、艦に着くまで口外しないでください」通路側に座るイノンドが注意してくるので、同じく通路側に座っているロイが「わかりました。気を付けます」返事をする。
「ねえ、アニスの夢が一つ当たったわよ」ロイの向かいに座っているバーネットが小声で話し掛けてくるので「しかし、順番が違うぞ。イノンドの話を聞いて艦に戻るのは、最後だったはずだ」記憶をさかのぼるマーティ。
「でも、こうやって急いで戻ってるじゃないの」
「ちょっと待って」ロイはポケットから携帯を取り出すとメモ欄をあけ「アニスが言ったことを書き留めておいたんだ」端から読んでいく。
一、期間はあと五日。イノンドが打つ手がないと言ってくる。
二、どこかの工場が爆発して振動が起き、真っ暗になる。
三、たくさんの人が一ヶ所に集まる。普段着。昼間。休日。
四、警察がどこかのビルに向かっている。
五、イノンドの話を聞いたあと、急いで艦に戻る。
「どういうことなのかしら?」難しい顔をして考えるバーネット。
「この次、何が起こるかで、どういう順番なのかわかるだろうね」メモを見るロイ。
「夢の一つが現実に起こった。次に何か起こるのは近いぞ」窓の外を見るマーティ。
『じゃあ、今日中に大変なことが起こるかもしれないの?』不安になるシュール。
「その可能性は高いね」
「イヤだわ。何が起こるのかしら?」
「何か起こる前に、艦に戻れればいいんだが」
「艦、大丈夫? エル、聞いてみる?」
「そうだな。電話してみよう」ロイは席を立つとデッキに向かい、エルに電話をかける。




