表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
十三章 老い先短い星
913/1021

7-2 アニスの予知夢 継続

 

 再びロイたちの部屋。


 窓際のソファに座ると「アニスたちはどこに行ったんだ?」姿が見えないのでマーティが聞く。


「コーヒーを貰いにフロントへ行ったよ」

「なんだ、全部飲んでしまったのか」


「では話してください。アニスの夢がどうしたんですか?」イノンドが口火を切るので「その前に、アニスの特殊能力について説明します」ロイが説明を始める。「彼女は予知夢を見るんです」


「予知夢、ですか?」

「そうです。正夢と言えばわかりますか?」


「ああ、夢で見たことが現実に起こるというものですよね?」

「そうです。その彼女が、一週間前からある夢を見てるんです」


 アニスが話したとおりのことを伝えると「ちょっと待ってください」困った顔をするイノンド。「確かに先ほど、どのような事でも信じると言いましたが、このパターンでは……。申し訳ないのですが、私たちが彼女の夢を信じるには、何か一つでも当たらないと……」


「たぶん今日、何か起こりますよ」

「今日ですか?」


「チャービルさんからの依頼に対しての返事は、今日来るんですよね?」

「そうです」

「では、その報告を待ちましょう」


 そこへ、バーネットたちがコーヒーと紅茶を入れて持ってきた。


「コーヒーの飲み過ぎだと言われなかった?」ロイが冗談を言うと「それどころか、お好きなんですねって、たくさんパックをくれたわ」苦笑するバーネット。


「どうしたアニス」カップを渡したあと、用意されているスチール椅子に座って何やら考え込んでいるので、マーティが声を掛けると「ちょっと……」


「もう、さっきからずっとこうなのよ」隣に座るバーネットが「一人でブツブツ独りごと言ったり、立ち止まってボーッとしたり」


「夢のことか?」

「……うん」


『それほど引っ掛かってるんだ』シュールも心配する。


「今考えても答えは出ないよ。もう少ししたらわかるんじゃないかな?」ロイが声を掛けると「うん……」と返事をするが、表情は変わらない。


「さて、そろそろチャービルさんとの約束の時間だ」腕時計を見るロイが「チェックアウトは三十分後。 集合は一階ロビーで」


 三十分後、会計を済ませ、荷物をレンタカーに乗せてチャービルの工場を訪ねると、シャッターが閉まっていた。


「変だな。約束の時間は合ってるのに」ロイが腕時計を見ると「裏へ回ろう」マーティが脇道へ入る。


 裏口へいって呼び鈴を鳴らすと中で音がするが、いくら待っても出てくる気配がない。


「どうしたんだ?」


「何かあったのよ!」バーネットがドアを叩く。ドンドンドン!「チャービルさん!」何回もドアを叩くが返事がない。


「どうする?」マーティに聞くと「ドアを破ろう」マーティが蹴ろうとしたとき『待って! 誰かこっち見てる!』


 突然のシュールの言葉にロイたちの動きが止まるので『止まっちゃダメ! 気付かないフリして。なんか怖そうな人達だよ』


「どうしたんですか?」

「イノンド。そのままで聞いてください。何者かが僕たちの様子を伺ってます」


「エッ?」

「室内にも誰かいる気配がするのに、出てくる様子がないんですよ」

「ここは戻ったほうがいいな」


「参ったな。約束をすっぽかされるなんて。取引の話が台無しじゃないか!」突然ロイが大声で文句を言いはじめると「仕方ない。ほかを当たろう」マーティが(きびす)を返す。


 マーティを先頭に来た道を戻り、表通りに出ると車に乗った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ