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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
十三章 老い先短い星
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7-1 アニスの予知夢 継続


『そうだよね。工場を一つずつアニスに見てもらうなんて、できないよね』

「僕が一番気になるのは、イノンドが「打つ手がない」と言ってきたことだ」


『横領に対して「打つ手がない」ということなのかな?』

「そこがわからないんだ。「あと五日」って、なにが「あと五日」なんだろう?」


 そこへマーティがお風呂場から出てきたので、今度はロイがシャワーを浴びにいく。


『ねえマーティ。マーティはアニスの夢のことをどう思う?』剣はロイのベッドの上にある。


 長い髪を拭くマーティが「途切れ途切れに夢を見ることが気になるな」

『確かに変だと思うけど、なんで?』


「いつも同じように切れ端のような夢を見るなら問題ないが、そうでなかったら、なにか意味があると思うからだ」


『そうだね。じゃあ、アニスに聞いてみる。アニス!』

“なあに?”


『今いい?』

“ええ、大丈夫。バーネット、シャワー、浴びてる、から ”


『聞きたいことがあるんだけど。夢を見るとき、いつも途切れ途切れに見るの?』

“いいえ。今回の、こと? こんなこと、初めて ”


『そうなんだ』

“どうして?”


『マーティが聞いてみたいって言ったから。ありがとう』


「アニスと電話で話してるシュールの隣で、二人の会話を聞いてるみたいだな。それで、アニスはなんだと言ってたんだ?」


『こんなこと初めてだって』

「そうか……」


『何か気になることでもあるの?』

「何か引っ掛かってるんだが、ハッキリしないんだ」


『明日、イノンドが「打つ手がない」と言ってくるとか?』

「その前に何か起きるだろう」


『私たち、巻き込まれちゃうのかな?』

「わからん」


『ここで足止め食うのかな?』

「その可能性は、否定できないな」


 いろいろと話しているうちにロイが出てきたので、マーティが備え付けの冷蔵庫から缶ビールを出すと、風呂上がりの一杯を飲んでベッドに入った。



 翌朝八時、最上階のレストランにみんなの姿があった。


 昨夜と同様、窓際の席に案内されると、同じように左奥からロイ、バーネット、アニス、マーティが座り、向かいに、イノンド、黒髪の部下と赤茶髪の部下が座る。


 注文を済ますとバーネットが「アニスが夢の続きを見たのよ」と言うので「本当!」アニスを見るロイが「どんな夢だった?」と聞くと「それが……」向かいに座っているイノンドを見るので「私が何か?」


「その……イノンド、何か話した、あと、急いで、艦に戻る、ところ、だった」

「イノンドの話の内容は?」


「覚えてる、のは、この星、関すること、だった、けど……」

「どんなこと?」


「危機感、感じた、覚えてる。でも、話の内容、覚えてない」

「変なのよ。朝からずっとこう言ってるの」

「何が変なんだ?」通路側のマーティが聞く。


「とても、長い間、夢見てた、気がする、のに、たった、これだけ、しか、覚えてない」

「疲れてるんじゃないか?」

「そんなこと、ない」


「話の途中に入って申し訳ないのですが、何のことか話してもらえませんか?」イノンドが説明を求めてくるので「でも、信じて、もらえるか……」


「おや、ここまできて除け者にするんですか? もう、どんなことを言われても信じますよ」


 二人の部下も同様に頷くので「話したほうがいいと思う」バーネットがロイを見ると「わかりました。部屋に戻ったら話します」



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