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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第三章 アグリモニー星
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18 初めて見る宇宙への入り口

 

 午後一時五十分。

 目的の中央スペースエアポートに着いた。


「予定より少し遅れたけど、無事に着いてホッとしたよ」

「早くゲート前まで行って、食事を取らせたほうがいい」

「そうだな」


 レジーナ・マリス号が停泊(ていはく)している百二十五番ゲートへ向かう。


 ゲート横にある待合室の受付カウンターで団体用の空き部屋を確認すると、ゲートが見える通路側が空いていたのでそこを一時間半ほど借り、人数分の昼食を注文すると部屋に入った。


 中に入るとやっと安心したのか、荷物を床に置いて各々好きな席に座る。


 ガラス越しにゲートが見えるので、子供たちはガラスにへばりつき、行き交う人々を見はじめていた。


 ロイとマーティは昨日、スペースエアポートの総合窓口から盗まれた携帯電話が見付かったと連絡をもらっていたので、待合室の反対側にある総合案内所へ行き、身元確認後に受け取ると「何とか出発前に取り戻せてよかった」


「一時はどうなるかと思ったが、運が良かったな」

「じゃあ、エルにゲートに着いたとメールしておくよ」携帯からメールを送信する。

  


 部屋に馴染(なじ)んできた頃、頼んだ昼食が運ばれてきたので夫人たちが手際よく配っていき、おいしそうに食べはじめると、少年たちはマーティの監視(かんし)の中、作法を守って食べている。


 午後二時四十分。

 お昼も食べ終わり、眠くなる時間になったが、エルはまだ出てこない。


 心配するロイたちをよそに、子供たちは待合室の中を走り回っている。



 午後二時五十分。

 やっとエルが出てきた。


「何とか間に合ったよ」


 走ってきたのだろう。息が上がっているが、ロイの顔を見付けるとパスの束を渡す。


「助かったよ。ありがとう」


 ロイの後ろではしゃぐ子供たちを見て「これから(にぎ)やかになりそうだね」

「そうだな。ああ、ベッドを二つ手配してくれないか? 病人とケガ人が一人ずついるんだ」


「わかった。入り口で待機しててもらうように言っとくよ。じゃあ、僕は先に戻るよ。すぐ出発だから、早く乗艦してよ」エルは待合室から出ると、ゲートを通って戻っていく。


「みんなこっちに集まって!」ロイが声を掛けると、散っていた人達が集まってくる。


「これから言うことをよく聞いてください。まず、今からパスとIDを配ります。名前を呼ぶので、受け取ったらマーティの後ろに並んでください。


 ゲートの入り方は彼が教えるので、順番に前の人のやり方を見て通ってください。

 中に入ったら、少し先にここと同じような待合室がありますから、そこでみんなが(そろ)うのを待っててください」


 説明し終わると名前を呼んでパスとIDを渡し、ダイヤースを抱えるマーティを先頭に部屋から出ると、ゲートへ向かう。


 最後のブラントに渡して待合室から出ると、通路の先から、ものすごい勢いで走ってくる男たちが見えた。


 顔がハッキリ見えてくると、それがビルドとカードーンだということがわかり「ブラント! 早く入れ!」ロイが背中を押すと「待て!」ビルドが叫びながら走ってくる。



 もう少しのところで、ビルドたちはゲート脇にいる警備員に立ち(ふさ)がれて止まった。


「なにを(さわ)いでるんですか?」


「今入ってった奴らはパスを作れるような金なんか持ってない! 偽装(ぎそう)パスだ!」ビルドが怒鳴(どな)ると「いいえ。皆さん、ちゃんとしたパスをお持ちでした」冷静に言い返す。


「そんなはずない! もう一度調べてくれ!」


「調べる必要ないよ。みんな本物だからね」ゲート内にいるロイに「畜生(ちくしょう)! 出てこい!」すごい剣幕(けんまく)怒鳴(どな)るので「また僕の剣を盗むのか?」と言うと「盗む?」警備員がビルドたちを(にら)む。


「とんでもない! デタラメですよ!」


「じゃあ、時間がないから」ロイが背を向けると「待て!」ゲート内に入ろうとするので「パスとIDは持ってますか? 持ってなければ入れませんよ」警備員が立ち(ふさ)ぐ。

畜生(ちくしょう)! 覚えてやがれ!」



「アイツらがここまで追ってきたのか?」ゲート先の待合室で待っていたマーティが確認するので「どうしてここにいるのがわかったのか知らないけど、パスとIDを持ってないから、入ってこれないよ」


「そうか。では心配ないな。時間がない。行くぞ」乗船口へ向かう。



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