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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
十三章 老い先短い星
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4-3 新たな口伝

 

『第三の門へ入りし尋ね人よ。イグナス・ヴェナンディが持つ炎の矢を受け取り、第四の門へ向かうがよい。


 第四の門は、月光の橋の先、「沈黙の神殿」にある(よい)(なぎ)の門より入る。

 宴の部屋へ向かい、アウステルに夜の矢を持たせるがよい。


 されど尋ね人よ、心せよ。雷獣に見付かってはならぬ。見付かれば雷鳴の檻に監禁され、永遠に落雷を受け続けるであろう』



「ここから交代する予定だったから、すっかり覚えちゃったよ」

『……すごい。私には難しくて、ぜんぜん覚えられなかったのに』感心するシュール。


「どうやって口伝を調べたの?」疑問に思うバーネット。「第四の門の口伝は「火炎(かえん)の宮殿」の中に書いてあるのよ。宮殿の中に入ったの?」


「それはまだ話せないんだ」と答えるので、バーネットが無言の視線を送ると「……「火炎の宮殿」には、許可された者しか入れないからね」


『じゃあ、別のところに口伝が書いてあるの?』考えるシュールに「いや、それはないと思うよ」

『……じれったい』


「シュール。あとで聞きだすために、メモしておいて」冷静なバーネット。

『了解!』敬礼していそうなシュール。


「……お手柔らかにお願いします」弱腰のリシェル。


「でも、門から神殿まで庭があって、アドバイスはその庭の通り方だというのなら、その庭に、なにか仕掛けがあるというの?」


「おそらくね。すんなり「沈黙の宮殿」まで通してくれないんだろう。そこでお願いがあるんだ。たぶんアドバイスは口伝だろうから、それがわかったら教えてほしいんだ」


「このペンダントを通して?」バーネットがバラのペンダントヘッドを持つと「そう。アドバイスの口伝は暗号のようになってると思うから、君たちが目的地に着くまでに、解読しておきたいんだ」


『できるの? だって、本当に第四の門の中に庭があるか、わからないんだよ』


「十中八九、庭はあると思うし、仕掛けもあると思う。もし、門を入った先がすぐに神殿の中だったら、門と神殿を別々に言う必要はないだろう?」


「確かにそうだけど」


『じゃあ、本当に途中で鍵を繋ぐことになって、そこでアドバイスをもらったら、連絡すればいいじゃん』


「それもそうね。確定してることじゃないから、それでいいかしら?」


「もちろん。とにかく、危険なことは事前に解明しておきたいんだ。そうすれば、通り方の説明ができるだろう?」


「……わかった。とにかく、アドバイスをもらうことになったら連絡するわ」


(リシェルの言うとおり、鍵を繋ぐことになって、新しい口伝を聞くことになった。しかも、第四の門の入り口から、「沈黙の神殿」までの行き方ということも同じ。だとしたら、仕掛けがある庭があることは確実ね)


 リシェルの分析の確かさに驚かされるが(本当は、前回の尋ね人だったんじゃないかしら?)


 そんなことを考えているバーネットの隣、ロイが身に着けている剣にいるシュールも同じことを考えていた。


『あのおじさん、リシェルと同じこと言った。じゃあ、仕掛けがある庭はあるんだ。さっきの口伝、リシェルに言わないと』


 そのため、バーネットに声を掛けたかったが、彼女にだけ話し掛けることができないので、話せる機会を待つことにした。


『どうして私がもらったペンダントには、通信機能が付いてないんだろう?』



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