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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第三章 アグリモニー星
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13-2 やられたからやり返す

 

「そっちこそ、これで終わりだと思うなよ」ビールを飲みほすロイが剣のカバーを取ると「その剣は!」男たちの顔色が変わる。


「見覚えがあるだろう? 昨日、お前らが殺した男から(うば)いとり、市場で売った僕の剣だ」


「マ、マズいぜ兄貴」青白肌男がリーダー格に(すが)ると「何言ってんだ。アイツから剣を(うば)えば、また金が手に入るじゃないか」


『ふざけるな! 私は売りものじゃない!』

「おいおい、そんなこと言うからさらに怒ったぞ」


「怒った? 剣を人扱いして、お前、頭がおかしいんじゃないか?」リーダー格は持っていた椅子の脚を放り投げ、上着の内ポケットから銃を取りだして銃口をロイに向ける。


「形勢逆転だ。袋とその剣をこっちに寄越しな」

「やめとけ」動じないマーティ。


「兄ちゃん、この状況がわからねえのか? 死にたくなれば言うとおりにしろ!」バーンと一発、天井に向けて撃つので「……わかった」袋の口を結ぶと「素直に言うこと聞けばいいんだよ」口元に笑みを浮かべるが「ほら」マーティが袋を投げると同時にリーダー格の銃めがけて、カウンターに置いてあるガラスの灰皿を投げる。

 ゴツッ!「イテーッ!」ゴトッと音を立てて銃と袋が床に落ちる。


「この野郎!」五分刈(ごぶが)りが落ちた銃と袋を拾おうとするので、マーティがさらに灰皿を投げて動きを止めると、ロイが剣を抜く。


「シュール、気が済むまで仕返ししていいぞ」

『ハーイ、思う存分、仕返ししまーす!』

「覚悟しろ!」


「何が覚悟しろだ! なめんな!」リーダー格が五分刈(ごぶが)りの銃を取ると銃口を向け「剣が銃に勝てるわけねえだろう」引きつりながらもニヤッと笑うので「本当にそう思うか?」ロイが剣先を向ける。


「な、なんだよあの剣。光りだしたぞ」五分刈りと青白肌が(おび)えだすので「まやかしだ。(だま)されるな!」リーダー格が怒鳴(どな)ると剣の周りにプラズマが走りだす。


「兄貴、あれでもまやかしですか?」青白肌がリーダー格の後ろに(かく)れると「幻覚だ。あんなこと、現実にあり得ないだろう」声が(ふる)えだしている。


「幻覚か試してみるか? シュール、少し遊んでやれ」ロイがゴーサインを出すと『了解!』プラズマがリーダー格の銃へ飛んでいき、バリバリバリッ!「ウワッ!」ガシャーン、転がった銃から煙がでる。


「兄貴! 本物ですよ! 逃げましょう!」五分刈りが悲鳴を上げると「バカ言うんじゃねえ! あの剣を手に入れれば、俺たち無敵(むてき)じゃねえか!」今度はナイフを出すが、それにもプラズマが飛んでいく。


 バリバリバリッ! パキーン!


「ギャア!」ナイフの刃が粉々になり、リーダー格の上着の(そで)(こげ)げる。


「次は何が出るんだ?」ロイがプラズマをまとっている剣先を向けると「兄貴! 逃げましょう!」五分刈りと青白肌が後ずさりしはじめるので「まだ終わってないぞ!」剣先を天井に向けると、逃げようとする二人の頭上の蛍光灯(けいこうとう)にプラズマが当たり、割れた破片が降ってくる。


「ウワア!」青白肌は(ひる)んでその場にしゃがみ込むが、五分刈りは「畜生(ちくしょう)!」やけくそになって飛び掛かってくる。


「いい度胸(どきょう)だ」ロイが剣先を向けると立ち止まり、(ふく)らむプラズマを見て飛び出したことを後悔(こうかい)したのか、後ずさりを始める。


「どうした? 掛かってくるんじゃないのか?」


「兄貴、相手が悪いですよ」五分刈りが涙目で(うった)えると「その剣は何なんだよ。まるで生きてるみてえじゃねえか」震える声をおさえて虚勢(きょせい)()るリーダー格。


「そんなこと言うと、また怒るぞ」


 バリバリッとプラズマが走る。


「なんて言ってるか教えてやろうか。金欲しさに人を殺して(うば)った挙句(あげく)、売り飛ばした。その(むく)いを受けろ」


「冗談じゃねえ! そんな事でいちいち(むく)いなんて受けられるか! ここじゃ強い者が生き残るんだ!」


「腐った根性に治療法はない。シュール、遊びは終わりだ」


『とどめ、行きます!』ブワッとプラズマが大きくなると、三人めがけて飛んでいく。


 バリバリバリッ! ガッシャーン!


 三人は店の大きな窓ガラスを突き破り、外へ飛んでいった。


『仕返し終了!』スッキリしたシュール。

「さて、一つは片付いたな」剣をしまうロイ。


「次は、俺たちの頭を(なぐ)ったアイツらだ」マーティが床に落ちた布袋を拾うと(ほこり)をはらい、ロイに返す。


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