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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第三章 アグリモニー星
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12 耐電シート

 

 店から出ると警察署へ向かった。


 ブラントに剣が見付かったと報告するためである。

 そして、カバーを着けた剣は定位置に戻った。


「そういえばシュール。どうして強盗(ごうとう)()ったとき、得意のプラズマを食らわせなかったんだ?」疑問に思っていることを聞くと『食らわせたよ。アイツらが剣を持ったとき。でも、()かなかったの』


「なんで?」

『私が聞きたい!』

「アイツら、頑丈(がんじょう)なゴム手袋でもしてたのか?」

『ううん、素手(すで)だった』

「じゃあ、なんで()かなかったんだ? この星の住民は対電気人間なのか?」


「そんな人間は存在しない」(あき)れるマーティだが「それにしても不思議だな。シュールのことだ、手加減なしで思いっきりやったんだろう?」

『もちろん!』


「あと考えられるのは、プラズマを(ふう)じたかだな」

(ふう)じた?」マーティを見ると「ダイヤースの話では、剣は布に包まれてた。その布は耐電(たいでん)シートの(たぐい)だったんじゃないか?」


「なるほど。もしそうなら納得できるけど、そんな偶然あるか?」

「でなきゃ、無事でいられないだろう?」

「それはそうだけど」


『その耐電(たいでん)シートって、電気を通さないの?』

「作業中、電気を放電する機械なんかに掛けて、感電を防ぐものだ」


『ふうん。じゃあ、その耐電シートだったと思う。そのシートに包まれてたとき、どんなに頑張(がんば)ってもプラズマが出なかったのに、私を持ち逃げした男の子が撃たれて河に落ちたとき、シートが取れて、そのあとはバリバリに出たから』


「河の中でプラズマを放電したのか!」

『放電したというか、出た』

「それで、大量の魚が感電して浮き上がったのか」なるほどと頷くロイ。

「とにかく、耐電(たいでん)シートの(たぐい)だったわけか」納得するマーティ。


「じゃあ、河から引き上げてもらった後、次の強盗(ごうとう)に持っていかれたときはどうしたんだ? プラズマを食らわせなかったのか?」


『それがね。引き上げてもらったとき、そのシートも一緒だったの。引き上げてくれたおじさんはそのシートも一緒に売ろうとしてたみたいで、きれいに洗って乾かした後、またそのシートで剣を(くる)んじゃったの』


「不幸中の(さら)なる不幸だな」


『他のもので(くる)んでって大声で言ったんだけど、聞いてくれなかったの』

「まあ、そうだろうな。それで、どこでそのシートが取れたんだ?」

『さっきの予言者のお婆さんが買い取ってくれた後、シートを取って細長い袋に入れてくれたの』


「そう言えば、シュールの声が聞こえたと言ってたな。何か話しかけてきたか?」

『ううん、何も』


「ところで、俺たちの声が聞こえたのは、この市場に入ってからか?」マーティが気になっていることを聞くと『思った以上にでかい市場だなって、マーティの声が聞こえたのが最初』


「そうか。どうやら、声の聞こえる範囲があるらしいな」

「まあ、普通に話してても聞こえる範囲があるから」

「頭の中に聞こえてきても、それは同じということか」



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