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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第三章 アグリモニー星
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9-1 色の付いたハンカチ

 

 二人の案内で市場へ行くと、(あふ)れんばかりの人が動き回っていた。


「思った以上にでかい市場だな」敷地内に入って辺りを見回すマーティが「どうやって探す?」と聞いてくるので「市場の真ん中に噴水(ふんすい)があって、そこを中心に、放射線状(ほうしゃせんじょう)にお店が並んでるんだ」クレスの説明を聞いて「では、その噴水(ふんすい)拠点(きょてん)に探そう」


 クレスたちを先頭に、人混みの中を噴水へ向かって歩いていく。



「こんなに店があるんじゃ、探すのが大変だな」隣を歩くマーティに話を振ると「それにこの人だ。買われてしまう恐れがある」周りを見回していると、突然『ロイ? マーティ?』


 急に二人が立ち止まるので、振り返るロベージが「兄ちゃんたち、どうしたの?」足を止めると他の少年たちも立ち止まる。


「静かにしろ」マーティが右耳に手を当てて、頭の中に響いてくる声を聞きやすくすると、ロイも両手で耳を(ふさ)ぐ。


「ねえ、どうして耳を(ふさ)いでるの?」

 (しゃべ)らないようにと、ロイが口の前に指を立てると『ロイとマーティじゃないの?』


「シュール!」

『やっぱりロイだ!』

「今どこにいる?」

『お店の中。周りにいろんな物が置いてある』

「この市場の中にいるんだな? これから行くから、もう少し待ってろ」

『うん!』


「場所を特定するには起点が必要だな」とマーティが言うので「とりあえず、噴水のところまで行こう」


 またクレスたちを先頭に人混みをかき分けて中央広場の噴水まで行くと、そこにもたくさんの人がいた。


「どうやって探すの?」ロベージが聞いてくるので考える。


 その時、ロイの目に、向かいのテントで風にたなびく幾つかの旗が写った。


「なあマーティ。こういうのはどうだろう。ロベージたちの脚に、色の違うハンカチを巻きつけて通りを歩いてもらうんだ。シュールに、何色のハンカチが見えたか聞けば、居場所が(しぼ)れる」


「それで行こう」

「シュール」

『なに?』

「今いる場所から外の通路が見えるか?」

『うん、見えるよ』


 シュールの返事を聞いて、マーティがハンカチを買いにいく。


「これから脚にハンカチを結んだ少年たちを歩かせるから、ハンカチが見えたら何色か教えてくれ」

『わかった』


「ねえ、兄ちゃん、誰と話してんの?」クレスが不思議そうに聞いてくるので「そのうちわかるよ」苦笑するロイ。


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