表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第三章 アグリモニー星
74/1020

8-2 管理人夫妻


 ロイたちがアパートに戻ると、管理人夫妻がみんなの夕飯を用意して待っていてくれた。

 テーブルには、ところ()ましと料理を盛りつけたお皿が並んでいる。


 クラリー夫人が汗まみれの姿を見て「お疲れになったでしょう。シャワーを浴びてらっしゃい」と言うのでマーティが「お前ら、先に行ってこい」少年たちに声を掛けると、夫人がお風呂場へ連れていく。


「お前さんたちには、二階に同じ年くらいの息子を持つ家族がいるので、借りてきたよ。これを使ってくれ」ルーサンが二人に着替えを渡す。


 少年たちと入れ違いにシャワーを浴びて戻ってくると、クラリー夫人が二人の姿を見て「その服、ちょっと小さかったわね」苦笑して席に案内してくれた。


「さあ、ご馳走(ちそう)とまではいかないが、家内が腕を振るって作った料理だ。たくさん食べてくれ」二人のグラスにビールを注ぐ。


 少年たちにはオレンジジュースが出て大喜びしている。


「大勢で押し掛けてすみません」ロイが恐縮(きょうしゅく)すると「気にせんでくれ。私たちには子供がいなくてね。息子がたくさんできたみたいで嬉しいよ」おいしそうにビールを飲みはじめると、クラリー夫人が「こんなに張り切ってお料理を作ったのは久しぶりよ。お夕飯の材料を買いに行ったとき、何を作ろうかとあれこれ考えて、とても楽しかったわ」


「家内のこんな顔を見たのは久しぶりだよ。君たちのおかげだ」

「さあ、お腹が空いたでしょう? たくさん召し上がってくださいね」


「はい、いただきます」ロイがフォークを取ると、待っていたかのように少年たちも「いただきます!」と大声を出して食べはじめた。


 少年たちは今日もすごいご馳走(ちそう)が食べられて、とても嬉しそうな顔をしている。

 そんな彼らに、マーティは相変わらず作法を教え、行儀よく食べさせていた。


「私の料理、お口に合うかしら?」

「とてもおいしいです。これがお袋の味と言うんでしょうね」ロイが笑顔で答えると「あの、お母様は?」

「母は、僕が五歳のときに亡くなりました」

「まあ、ごめんなさい。余計なことを聞いてしまったわ」

「いいんですよ。気にしないでください」笑顔で答えると夫人は再度(あやま)り「たくさん食べてくださいね」と声を掛ける。


 楽しい夕飯が終わると少年たちは用意してくれた部屋へ行き、ロイたちは、食後のコーヒーをご馳走になってから部屋に戻った。




 翌日の朝七時に夫人が起こしにきたので顔を洗い、着替えて一階の管理人夫妻の部屋へ行くと、朝食の用意が整っていた。


 それぞれ席に着いて食べはじめると、少年たちはマーティの監視(かんし)の中、作法を守っておいしそうに食べている。


 食後のコーヒーを飲んでいると、夫人が二人に新しい服を持ってきてくれた。


「その服では外へ出られないでしょう? これも借り物だけど、いいかしら?」

「ありがとうございます。助かります」服を受け取り「何から何までお世話をお掛けして、すみません」

「いいんですよ。それで、今夜は何時頃に戻ってこられますか?」

「そうですね。昨日と同じ時間になると思います」


 服を着替えると、少年たちを連れて私設警察署へ出向く。




 その警察署は、以前、工場の事務所だったところを改造して使っているので、設備が整っている大きな建物だった。


 玄関の正面にある受付でブラントの名前を告げると、二階奥にある会議室へ行くよう言われ、右奥の階段を指さす。


 会議室に入ると刑事たちが席に着いていたので、一番後ろの空いている席に並んで腰掛けると、少ししてブラントが入ってきて会議が始まり、昨日の聞き込みの結果が報告される。


 それによると、犯人らしき三人の男たちは街中にある市場へ向かったらしく、今日の捜査方針が決まった。


「犯人は市場で盗んだ剣を売り、大金を手に入れたと思われる」ブラントがホワイトボードの前に立って話しだす。「大金が手に入れば普段と違う行動をとる可能性が高い。今日は、急に羽振(はぶ)りがよくなった人物、及び、急に引っ越しを始めた人物を当たれ」


 会議が終わると、刑事たちが一斉に部屋から飛び出していく。


 ロイたちも外へ出ると「街中にある市場を片っ端から探せば見付かるだろう」マーティに声を掛け「ロベージ、クレス。大きい市場から案内してくれ」


「こっちだよ」少年たちが歩きだす。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ