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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第三章 アグリモニー星
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5-1 剣の行方


「思わぬところで意外な発見があったな」ブレスレットを見るマーティ。「これが三千五百万?」

「金持ちだな、マーティ」

「ロイも同じだろう? ところで、あのネックレスとブローチ、どうしたんだ?」

「あれは、ベルナーテの当主から、困ったときに使ってくれと貰ったものなんだ」

「ベルナーテ家は鉱山脈を持ってたな。なるほど」

「さて、ロベージ。次だ」


 それから数軒見て回ったが、剣はどこにも引き取られていなかった。



 やがて日が暮れてきた。


「これだけ探しても見付からないなら、盗んだアイツらがまだ持ってるのかもな」


 疲れて道端にしゃがみ込むマーティが剣の在処(ありか)を予測すると、隣に座っているロイは、返事をせずに考え込んでいる。


「どうした?」

「今、ふと思ったんだけど、なんでシュールは何もしなかったんだろう?」

「どういう意味だ?」

「シュールはプラズマを放電できるのに、どうして持ち去られるとき、その技を使わなかったんだろう?」

「そういえば以前、セージがそんなことを言ってたが、本当なのか?」


「ああ、マーティにはちゃんと説明してなかったな。セージを助けに地下基地へ行ったとき、西端の部屋からトラックを置いてきた断層まで穴をあけたろう? あれはシュールがプラズマを放ってあけたんだ」


「ああ、あの時の。どうやってあけたのか気になってたが、シュールがやったのか。そうなると、なぜ使わなかったのかは本人に聞いてみなければわからないが、何か理由があるはずだ」


「そうだな。それにしてもどこにいるんだ? チンピラのところで大人しくしてるとは思えないし」

「案外、どこかでプラズマを食らわせて、奴らがのびてしまってるのかもな」

「それはあり得る」

「まあ、仮にそうだとしても、いずれ気付くはずだ」

「持ち運びできなくて、どこかに置いてあるのかもしれない」

「売られた痕跡(こんせき)がないから、その可能性は高いな」

「となると、奴らを見付けるほうが早いか」


「ロベージ。盗んだ奴らの居場所を知ってるか?」疲れてグッタリしている彼に聞くと「住んでる所は知らないけど、たむろってる場所なら知ってるよ」

「十分だ。そこへ案内してくれ」

「それより、俺、腹減ったよ」お腹の鳴る音がする。

「そういえば腹減ったな。先に夕飯を食べにいくか」腰を上げるマーティ。


 こんな所にしては、なかなかおいしい料理屋へ入った。


 黙々と食べる三人に対し、店主の女性が「いい食べっぷりだねェ! 見てると気持ちがいいよ!」ニコニコしながら空いていくお皿を片付けていく。


「ご馳走さまでした。おいしかった」お茶を飲むマーティ。

「お腹、はち切れそう」大満足のロベージ。

「さあ、食後のコーヒーを飲みにいくか」立ち上がるロイ。


 会計を済ませて外に出ると「こんな所でコーヒーを飲むのか?」マーティが渋い顔をするので「食後のコーヒーは欠かさないんだ。多少マズくても我慢するよ」


「奴らがたむろしてる店、カフェバーもどきの何でも屋だよ。コーヒーがうまいかは知らないけど」

「カフェバーじゃ、期待しないほうがいい」ため息を吐くマーティ。

「それでは、普通のコーヒーを飲みにいくか」苦笑するロイ。

「俺、ホットミルクでいいよ」一人笑顔のロベージ。


 三人はさらに下へ降りていく。


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