表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第三章 アグリモニー星
65/1020

4-1 質屋巡り

 

「すごい所だな」


 (はな)やかな上界(じょうかい)から坂道を下っていくと、そこは薄汚れた世界だった。

 大都市の裏に必ずある、ならず者が集まる地区。


「一件目はあそこだよ。時計を専門に扱ってるんだ」


 壊れかけた看板が今にも落ちてきそうな古ぼけた構えをしている、メイン通りから一本奥まった所にある店を指す。


 中も古くなっているが、防犯装置が付いていてガードはしっかりしていた。


「見せてもらうよ」


 ロイが奥に座っている店主らしい中年の男に声を掛けると、二手に分かれて陳列棚(ちんれつだな)を端から見ていく。


「ロイ、あったぞ」


 マーティのところへ行くと、指さすところに二人の腕時計が並んで置いてあった。


「オヤジさん、この腕時計いくら?」奥にいる店主に声を掛けると、ゆっくり出てきて「ホゥ、お客さん、いい目を持ってるね。この腕時計は、今日仕入れたばかりの上物(じょうもの)だよ」


(だろうな。数時間前に盗られたんだから)腹立たしく思いながらも交渉を始めると、押し問答の末、いくらか値切って買うことができた。


「お客さん、こんな所に来るような人に見えないけど、買い物がうまいね」


 ジロジロと見る店主から腕時計を受け取ると店から出た。



「盗んだその足で(さば)いたな」腕時計をはめるマーティ。「うまくいけば全部取り戻せそうだな。ロベージ、次だ」

「こっちだよ」三人はさらに街の奥へと入っていく。


 二件目はわりときれいな、(はな)やかな通りに面した店だった。


「ここは貴金属専門の店だよ」


 中に入ると、様々な貴金属がところ(せま)しと並べられている。


 カウンタ―の奥にいた店の主人らしき初老の男が出てきて「お客さんたち、初めて見る顔だね」と、笑顔だが探りを入れているように見るので「ここに掘り出しものがあると聞いてね。寄らせてもらったんだ」ロイが笑顔で答えると「そうかい。ゆっくり見てってくれ」ニコニコして近くの椅子に座る。


 また二手に分かれて端から見ていくが、目的の物はなかなか見付からない。


 しばくすると、ロベージがロイの上着を引っぱって「あそこの棚、まだ見てないよ」指さすほうを見ると、奥まった所に頑丈なガラスケースが置いてある。


 マーティを呼んで中を見ると、紫色のビロードの上に鎮座する一角獣のペンダントがあった。


「ご主人、この一角獣のペンダントいくら?」声を掛けると店主は驚き「そのペンダントを見付けたのかい?」立ち上がると「立派な細工だろう? なかなか手に入らない上物だから、かなり値が()るよ」と言うので肩掛けのバッグから小さな布袋を取りだし、中から金のネックレスを出すと交渉を始める。


 同型のネックレス三本でほぼ交換となり、一角獣のペンダントを取り戻すことができた。


「いくらなんでも高すぎるだろう」文句を言うマーティ。

「お客さん、このネックレスをどこで手に入れたんだい? こんな質のいい上物(じょうもの)、今まで取り扱ったことがないよ」店主は嬉しそうにルーペで丹念に見ている。


 その後、ロイの指輪を見付けたので交渉しようとしたら、破格値(はかくね)で取引してくれた。


「お得意様にはサービスするよ。そうだ、いい物があるんだ。きっと気に入るよ。今日、そのペンダントと一緒に仕入れた物なんだけど、見てみるかい?」内緒話をするかのように小声で話し掛けてくるので「ぜひ!」ロイが乗ると「ちょっと待ってな」奥の部屋へ戻っていく。


 少しして出てくると、持ってきた手箱をショーケースの上に置いて(ふた)をあける。

 そこには、ソレルのブレスレットが並んで置いてあった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ