3-2 事件発生
警察署から出ると「とにかく探そう」
「しかし、この通りを見るだけでも、質屋がごまんとあるぞ」質屋の看板の多さにうんざりするマーティ。
「片っ端から当たるしかないだろう」ため息を吐くロイ。
「俺、どこら辺にあるか知ってるよ」と少年が言うので「本当か!」二人が攻め寄ると「う、うん」怯んで小さく答える。
「なぜそんな事を知ってるんだ?」マーティが胡散臭そうに少年を見ると「アイツらが盗品を捌く、行きつけの店を知ってるからさ」仲間じゃないよ、という顔をするので「俺たちを襲った奴らを知ってるのか?」二人がまた詰め寄ると「たぶん……アイツらだと思うよ。兄ちゃんたちが襲われた路地から、出てきたところを見たから」
「それなら間違いないな」
「アイツら、この辺りじゃ有名なチンピラなんだ。いつも旅行者を狙うんだよ」
「ますます腹が立つ。とにかく、その店に案内してくれるというんだな?」マーティがポケットに残っていた小銭を数枚渡すと「もちろん!」ご機嫌になるので「全部取り戻せたらもっと出すぞ」ロイの言葉に「そうこなくっちゃ!」待っていたかのように大声を出す。
「マーティ。店に出てるとしたら金を用意したほうがいい。足が付かないように、現金取り引きしてるだろうからな」
「ああ、一旦戻るか」
二人は少年を連れてスペースエアポートに戻ると受付カウンターへ行き、IDパスの盗難届の連絡がきているか聞いた。
「先ほど連絡がありました。携帯につきましては、追跡機能で追うことができますので、詳細をお知らせいただければこちらで対応いたします。今までご使用されていたIDパスは無効にしましたのでご安心ください。今、新しいパスをお作りしていますので、できあがるまで少々お待ちください。ICカードも連絡がきておりますので、IDパスと一緒にお渡しいたします。また、預金ですが、引き出されておりませんので、こちらもご安心ください」
説明を聞き終るとカウンター横のソファに座り、出来上がるのを待った。
「参ったな。まさか、こんな事になるとは思わなかった」気分が滅入るロイ。
「落ち込んでる暇はないぞ。出発までに全部取り戻すんだ」カツを入れるマーティ。
しばらくするとパスとカードができたと呼ばれたが、身分証明書がないため、登録してある指紋認証で照合してもらい、IDパスを確認すると少年にここで待つよう言い、タブレットを取りに艦へ行った。
戻ってくると再度受付カウンターへ行き、それぞれ携帯の追跡を依頼する。
「壊されてなければ戻ってくるだろう」
「そうだな。さあ、探しに行くぞ」ロイは少年を見ると「名前を聞いてなかったな」
「ロベージ」
「ロイとマーティだ。早速、案内を頼む」
「まかしときな!」
二人はロベージと一緒に、盗品を捌く質屋があるというエリアに向かった。




