表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第三章 アグリモニー星
63/1020

3-1 事件発生

 

 街中に出ると、様々な人種がたくさんいることに驚かされる。


「分岐点だけあって、すごい人だな」人の波に少々うんざりするマーティ。


 商談でもしているのか、建物の内外を問わず立ち話をしている人が目立つ。


「そういえば、あまり治安が良くないから、持ち物には気を付けろとエルが言ってたな」

「見るからにそんな感じの所だ」と言ったとき、ガタイのいい男がロイにぶつかり「どこ見て歩いてんだ! 気を付けろ!」と怒鳴(どな)って去っていく。


「ロイ。大丈夫か?」

「警備員さん。その男、今、僕からパスケースを()ったので捕まえてください」


 近くのビル前に立っている警備員に声を掛けると、付近にいた人達が一斉(いっせい)に端によるので「畜生!」ロイにパスケースを投げつけて走り去っていく。


「大丈夫ですか?」警備員が()け寄ってくるので「お手数をお掛けしました。お陰で助かりました」パスケースを拾ってポケットにしまうと「ここら辺はスリが多発してるので、歩くときは十分注意してください」事なきを得たので、警備員は注意して持ち場へ戻っていく。


「ウワサどおり、物騒(ぶっそう)な所だな」

「いや、ロイも大したものだぞ」

「そうか?」歩き始めたとき、背中に(かた)いものが押し当てられた。


 後ろを向うとすると「前を見てろ」男の声が「そのまま右側の路地へ入れ」と耳元で言うので「またかよ。どうするマーティ?」

「ここは言うとおりにしたほうがよさそうだ。背中の(かた)いものは、高熱のレーザーを発する本物らしい」


 誘導(ゆうどう)されるまま路地へ入るといきなり後頭部を殴られ、その場に倒れた。



「兄ちゃん、兄ちゃん! 起きてよ!」


 体を揺すられて目を開けると、十二・三歳くらいの少年が、心配そうな顔をしてのぞき込んでいた。


「イタタタタッ」後頭部がズキズキする。

 頭を押さえながら上半身を起こし「マーティ、大丈夫か?」声を掛けると「何とか……」頭を押さえながら起き上がる。


 後頭部を確認すると「アーア、すごいコブができてるよ」

「ずいぶんと荒っぽいことをするな」後頭部の痛いところを撫でるマーティ。


「兄ちゃんたち、何か()られてない?」少年に聞かれてポケットを確認すると「パスケースがない! IDパスも携帯も、腕時計や指輪もないぞ。アッ! ソレルのブレスレットがない!」

「しまった! 一角獣のペンダントがない!」


「兄ちゃん。細長いものを持ってただろう?」ロイに確認するので「細長いもの? いや」

「この位の長さのものだよ」少年が両手を広げる。

「そんな長いものは持ってないぞ」

「ロイ、剣はどうした?」

「それは、短剣の長さになって内ポケットに……ない! シュール!」

「盗られたときに元の長さに戻ったんじゃないか?」

「そうかもしれない」


「まいったな。根こそぎ持ってっいかれたぞ。とにかく警察へ行こう」さすがのマーティも、この時ばかりは顔色を変える。


 ところが「行っても無駄だよ。こんなこと日常茶飯事だから、たぶん出てきませんよって言われるだけだよ」と少年に言われ、絶句(ぜっく)する。


「マーティ。ここは冷静に考えよう。携帯は追跡機能が付いてるから追えるだろう。IDパスは届けよう。どういうふうに偽造(ぎぞう)して使われるかわからないけど、どこかで引っ掛かる可能性がまったくないわけじゃない」


「ICカードの盗難届もだ。大した額は入ってないが、口座を封鎖(ふうさ)されてしまう恐れがある」


 細工したカードを使ったことがわかると、自動的に口座が封鎖(ふうさ)されてしまう。


「じゃあ、一番近い警察署へ案内するよ」少年に付いていくと盗難届を出した。


「パスとカードは手配しますが、盗られた品物は、まず出てこないと思ったほうがいいですよ。ああ、携帯は追跡機能が付いてれば探せるでしょうね。暗証番号は設定してますか? 他のものが(あきら)められないというのであれば、質屋を片っ端から当たるんですね。運が良ければ、幾つか見付かるかもしれませんよ」


 少年に言われたことを、そっくりそのまま言われてしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ