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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第三章 アグリモニー星
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1 分岐点

 

 ヴィラパス系を出発して二ヶ月後、ワープを一回こなすと、レジーナ・マリス号は順調に目的地へ向かっていた。


 コントロール室。


 メインシートに座っているロイが「何とか期日までに間に合いそうだな」隣のサブシートのマーティに話し掛けると「このまま順調に行ってくれるといいんだが」手元のモニターを確認する。


『ねえ、まだ目的の星に着かないの?』シュールの声が頭の中に響くので「着くまで、まだ一ヶ月くらいあるよ」

『そうなんだ……』


「暇を持て(あま)してるようだな。そろそろ物資補給のために星に降りる。少しは気が晴れるだろう」

『本当! どんな星に降りるの?』

「アグリモニーという星だ。そこでアイスゾーンへ入るための物資を補給する」


『そんなに早く揃えるの? 目的の星はまだ先なんでしょう?』

「その星から先がアイスゾーンだ。そこからどんどん寒くなるぞ」

『そうなんだ。あとどのくらいで着くの?』


「もう見えてるはずだ。セイボリー、アグリモニー星が見えてくる頃だろう?」メインパイロットの彼に声を掛けると「ああ。スクリーンに出そうか?」


 前方スクリーンに映るアグリモニー星は、十字の輪を持つ、薄く黄色味がかった星だった。


「きれいな星だろう。あの十字の輪で地上の気温をコントロールしてるんだ」


 通信担当のエルがアグリモニー星の管制塔(かんせいとう)と交信して、下艦許可を取りはじめるので「時間に余裕がありそうだから、少し散策(さんさく)しようか」ロイが提案すると『外に出られるの? 行きたい!』弾む声のシュール。

「そうだな。気分転換に降りてみるか」マーティも賛成する。


 コントロール室とガラスで仕切られた隣の作戦会議室に入ると、物資管理部のベルガモットと彼の部下が数名、中央テーブルに座って話をしていた。


 ロイたちがいつもの席に座ると、少し遅れてエルが入ってくる。


 席に着いてタブレットの電源を入れると「アグリモニー星への入港時間は、十月二十三日、午後二時三十分。滞在期間は三日間。出発は十月二十六日の午後三時二十分です。初心者用のキッドと説明書、アイスゾーンに関しての資料をもらったのでデータを転送します。説明書にある物資リスト以外で必要なものがあれば、追加項目欄に記入して申告してください」


「わかった。早速こちらのリストと照合する」ベルガモットが三人の部下を連れて会議室から出ていく。


「慌ただしい星のようだな」ロイが話し掛けると「分岐点なので、人の出入りが激しいらしいよ」タブレットを操作しながら答える。


「外出したいんだけど、何か先に確認しておくものとかある?」

「そうだね……」タブレット内のデータを確認し「今のところ大丈夫だよ」

「じゃあ、何かあったら携帯に連絡してくれ」

「了解」


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