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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第二章 「第一の門 / 鏡の泉の門」
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24 再び大宇宙へ

 

 その日の夜、ロイたちは艦のリビングにいた。


「もう少し手伝いたかったんだけど、途中で抜けることになってすまない」ロイが謝ると「ここまで手伝ってくれただけで十分だ」気にするなと言い返すアルバス。


「そうだぜ。ロイのお陰で早く決着ついたし、俺たちのことまで対応してもらえるなんてさ。まったく予測してなかったよ」


 セージたちは、統治者ルズロフの(はか)らいで、宇宙管理局員へ復帰できることになっていた。


「独立についてはまだ調整が必要だが、前向きな対応をしてくれると約束してくれたので、今より待遇が良くなる。まずは大きな前進だ」


 独立派の中心人物として動いていたアルバス。やっと肩の荷が下りたのだろう。表情に安堵感(あんどかん)が出るが「ところでマーティ」声のトーンを落とし「ロイと一緒に行くんだってな」


「ああ。やらないといけない事ができた」

「どんな事なんだ?」

「それは……」言葉を(にご)すと「地元の系星が新しい一歩を踏みだした大事なときに、どこへ行くんだ?」


「アルバス。こんなときにメインメンバーのマーティを引き抜いて本当に申し訳ない。でも、どうしても彼の力が必要なんだ」代わりに答えるロイを見ると「あの、森に()む二人のようにか?」

 思いも寄らないことを聞かれ、表情を変えると「ロイの旅の目的は、石化の犯人を見付けることと、石化したものを元に戻すことだと思ってたが、違うのか?」

「それは……」


「確かに、石化に関するデータだけが消去されてたことに関しては謎が残る。ピンポイントすぎるからな。だから、その件の謎解きをあの花に依頼したんだろう?」


「ああ……」

「で、どうだったんだ?」

「……芽が、出なかった」

「……そうか」

「解決……できないのかも、しれない」


「……どうだろうな。もしかしたら、これから進む先に答えがあるから、わざわざ花を咲かせる必要がないということなのかもしれない」

「どういう意味だ?」


「マーティを連れて進もうとしてる先が、花に依頼した謎解きの答えかもしれないということだよ。先を示さなくてもわかってるだろう、ということなんじゃないか?」

「……すごい解釈だな」


「マーティの家は代々(かた)りべの家系だ。たぶん、ロイの旅に必要な何かを知ってるか持ってるんだろう?」マーティを見ると「……そうだ」と答えるので「……わかった。旅が終わったら戻ってくるんだろう?」

「もちろんだ」

「なら、気を付けていけよ」

「……すまないな」


「僕が謝る! こっちの都合で、こんな大事なときに連れ出してしまうんだ。本当に申し訳ない!」

「そこまで言う必要ねえよ。こっちは大丈夫だから、気にしないで行けよ」

「悪いな、セージ」声を掛けるマーティに「お前の分まで頑張ってやるよ」彼の肩を叩く。


 翌日の午後二時半。


 ロイたちは艦の外にいた。


「早く旅を終わらせて戻ってこいよ」声を掛けるアルバス。

「戻ってきたら四人で飲みに行こうぜ」ロイの肩を叩き「土産話を楽しみにしてっからな」と言うセージに「あとを頼んだぞ」声を掛けるマーティがアルバスを見ると「気を付けていけよ」


 午後三時。

 定刻どおりにレジーナ・マリス号は惑星アエースドを出発した。


 コントロール室。

 前方スクリーンには手を振るアルバスたちの後ろで、三当主たちが手を振っているのが映る。


「早く復興してほしいな」

「大丈夫だ。今まで以上のものができる」


 スクリーンから五人の姿が消えると赤茶けた大陸が映り、やがてそれも雲で見えなくなった。


 大気圏突入で席に着き、暗黒の宇宙へ出ると「次の目的地へ急ぐぞ」クルーに声を掛ける。


いつもご愛読いただきありがとうございます。

今回で第二章が終了します。


次回より第三章が始まりますので、引き続きお楽しみください。

それでは、次話でお待ちしています。


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