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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第十一章 本戦に向けての序章
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4-2 闇のマニプレイト

 

「しかし、石の中の世界の魔導師が使ってたぞ」


『呪文を唱えて動かしていましたの?』と聞かれてその時のことを思い出すと「いや、確かあのとき、魔導師は蓋を開けたと言ってた」


『では、像が持つ本来の力を使ったにすぎませんわ』

「なんてことだ……」ガッカリするマーティ。


「話は終わりましたか?」声を掛けてくるインサニア。

「クソッ!」睨み返すマーティ。


「さて、あなたたちはどこへ行ってもらいましょうか」インサニアはまたあの薄ら笑いを浮かべ「そうそう、先に言っておきますが、この宮殿から出ることはできませんよ。さっき、すべてのドアを封印しましたから」


『その言葉を聞くかぎり、コモンに関しては深く調べられたみたいですが、わたくしに関しては、大して調べられていませんのね』


「そんなことありません。あなたのこともちゃんと調べました」

『まあ、そうですの。でも、わたくしにはそうは思えませんわ』


「それは心外ですね。どうしてですか?」


『さっき、この宮殿にあるドアをすべて封印したとおっしゃいましたわね? わたくしたちは、ここから逃げるつもりはありませんのよ』


「私を倒すまで?」

『そうですわ』


「この状況で、まだそういうことが言えるあなたはすごい方ですね」クスクス笑いだすので『なにがおかしいんですの?』


「これは失礼。ただ、あなたたちの立場が(あや)ういというこのときに、呑気に私と話をしてるものですから、つい」と言いつつ蓋を開け「リガビス・エオス(奴らを縛れ)」と言って蓋を閉めると、木箱から光る鎖が出てきて、ワームウッドたち目がけて飛んでいく。


 アニスの前に立つマーティ。

 しかし、その鎖は彼らの身体をすり抜けてしまった。


「なんだと!」目を疑うインサニア。


「どうなってるんだ?」自分の身体を見るマーティ。

「私たち、どうなって、しまった?」混乱するアニス。


 その時、平然としているワームウッドが『残念でしたわね。さっきあなたがおっしゃったとおり、危険な状況に置かれているわたくしたちが、呑気にあなたとお話をしている暇はありませんわ』


 インサニアはワームウッドのところへ行くと、手を差し伸べる。


「フフッ、あなたは本当にすごい方だ。私の目を(あざむ)くんですからね」インサニアの手がワームウッドの身体をすり抜けていく。


「なに、起きた!」大声を出すアニス。

『大丈夫ですわ。落ち着いてください』

「でも……」


「ここは彼女に任せよう。俺たちはなにもできないんだ」混乱状況にあるアニスに声をかけ、落ち着かせる。


「ここに異次元空間を作るとは。どうりでコモンがあなたに残りの者を託したわけだ。しかし、そちらからも手が出せない」


『やっぱり、わたくしに関してはなにもご存じありませんのね』


 言い返すワームウッドを睨むと、そんな彼をしり目に少し大きな声で『我は「大地の宮殿」のワームウッド。大地の女神ナトゥーラの名において我は呼ぶ。冥府の后デテイネ。闇の女神マニプレイトの力にて、亡者の国へ連れ去られし者たちに、ここまでの道を!』


 言い終ってしばらくすると、また出入り口のドアに穴があき、少しすると、そこからコモンたちが出てきた。



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