23-2 再会
メルが一直線にロイのところへ駆けより『お兄ちゃん、また来てくれたのね!』笑顔を向けるので「もちろん」頭を撫でると『兄ちゃんたち無事だったんだね』マーティのところへ来るミルに「いい情報を持ってきたぞ」声を掛ける。
「よォ、坊主」声を掛けるセージ。「この前は世話になったな」
『森を壊さないって約束、守ってくれたんだね』
「当たり前だろう。俺はウソ言わねえぞ」
『ねえお兄ちゃん、このお兄ちゃんは誰?』メルがアルバスを見上げるので「初めまして。アルバスだ。よろしくな」しゃがんで目線を合わせると『初めまして。メルフィンです』
『ねえ兄ちゃん、いい情報って何?』ミルがマーティの上着を引っぱるので「ヴィラパス系のリゾート計画が見直されることになった」
『本当! じゃあ、僕たちずっとここにいられるの?』
「そうだ」
『やった!』大喜びするミルとメル。
「アルバス、セージ。二人のためにも、この森をこのまま残してくれないか?」
「その事を頼むために、わざわざここまで連れてきたのかよ」
「直接二人に会って、現状を知ってもらいたかったんだ」
「わかった。俺たちが責任もって管理するよ」アルバスがメルたちの前にしゃがみ「これから安心して暮らせるから、何も心配しなくていいぞ」すると二人は「ありがとう!」と笑顔を返す。
「さあ、森のみんなにこの事を伝えておいで」ロイが声を掛けると『お兄ちゃん、もう会えないの?』メルがまた上着を引っぱるので「また来るよ。今度は帰るときに寄るから」
『本当?』
「約束だ」
『じゃあ、また会えるようにお守りをあげる』メルがポケットから取り出したのは、薄紫色の水晶のような石が付いた、緻密な細工が施された金のブレスレットだった。
手に取ると「こんな高価なもの、どうしたんだ?」
『金細工師のソレルが作ったんだよ』答えるミルもポケットからブレスレットを取り出すので「俺たちにもくれんのか?」セージが出されたブレスレットを受け取ると「すげえ。いくらすんだ?」
「俺のは形が違うな」アルバスがセージのブレスレットと見比べる。
「みんな形が違うだけで、刻まれてる模様は同じようだな」左手首に着けるマーティが「どうなってるんだ? 寸法を測ったわけじゃないのにピッタリだぞ」
『それもソレルの腕だよ』
「ソレルって何者なんだ? どうして俺たちが四人で来ると知ってたんだ?」アルバスが不思議そうな顔をすると『持っていけと四つ渡されただけだから、わかんない』
「その時、渡す相手を言われたのか?」
『ううん。ただ渡せって言われただけだよ』
「それにしても、こうオーダーしたようにサイズがわかるのがな。彼には会えないのか?」
『無理だと思うよ。人間と会うのが嫌いだから』
「そうか。それは残念だ」
「そうだ。記念にみんなで写真を撮らねえか?」セージがポケットから携帯を出して写真を撮りはじめるので『兄ちゃん、それ何?』ミルが興味を示す。
操作方法を教えると、面白そうにみんなと写真を撮りはじめるので「気に入ったか?」
『うん!』
「じゃあ、今度来るとき、坊主のを持って来てやるよ」
『本当!』
「セージ。充電はどうするんだ?」アルバスに聞かれ「ソーラー型の充電器なら大丈夫だろう? ここなら電波も取れるし」
「ああ、そうだな」
ミルがみんなと写真を撮り終えると「さあ、そろそろお帰り」ロイが声を掛ける。
『また来てね』メルがまた服の裾を引っぱるので「今度は俺たちが会いにくるよ」セージが小指を出すと『指切りげんまんね!』メルが小さな小指をだす。
『じゃあ、またね』二人が並んで手を振るので「ああ、またね」ロイたちもつられて手を振ると、ミルとメルは走ってきた一本道を戻る途中、何度も振り返って手を振り、森の中へ消えていった。
ロイたちは姿が見えなくなるまで手を振り続け、帰りの小型艇では、かわいい大地の精の話題で時間が過ぎた。




