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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第十一章 本戦に向けての序章
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1-1 顔合わせ

 

 言われたとおり、大地の宮殿に通じるドアには結界が張られていなかった。


 大地を象徴するような濃いブラウンの両開きのドアの前に立つグリークが振りかえり『行くぜ』声を掛けてドアを開けると『おっと!』目の前に、銃を構えた数名の兵士たちが待ち構えていた。


『何もしねえぜ。平和的に交渉に来たんだ』グリークが両手を挙げると『案内する』正面に立っている指揮官らしき男が合図を送ると、兵士たちがグルッと取りかこみ『無駄なことはするな』吐き捨てるように言うと、向きを変えて歩きだす。


 兵士たちに誘導されて西の棟の一階にある中央広場へ上がってくると『アイツ、「時の宮殿」を止めやがったな』グリークが呟くので「止める?」隣を歩くロイが聞き返すと『周りをよく見てみろよ』広場には、ここで働いている精霊たちが、(ろう)人形のように様々な格好をして立っていた。


「なんか、気持ち悪いわね」コモンに寄り添うバーネット。

『ぜってえ触んなよ。倒してぶっ壊れちまったら、大変なことになるからな』


「どうなるの?」

『死んじまうよ』

「……十分、気を付けるわ」


 グリークたちは、固まっている精霊たちを倒さないように気をつけて間を通り、広場を横切って正面階段を上がっていく。


「エレベーターかエスカレーターはないの?」三階に着くとバーネットが辛そうに呟く。『あるんですけど、止まっているようです』隣にいるルーも、少し息が上がっている。


「運動不足なのはわかってるけど、脚がガクガクしてきた」


 ペースを落として五階へ着くと、右側の通路の突き当たりにある大きなドアの前まで連れていかれ、指揮官がドアをノックすると扉が大きく内側に開き「入れ」と言われて、グリークを先頭に中に入っていく。


 その部屋は監督者が使っていたのか(おもむき)のある広い縦長の部屋で、両方の壁際には年代物の古いキャビネットが連なり、天井からは凝った造りのシャンデリアが三つ縦に吊り下げられ、床にはダークブルーの毛足の短いじゅうたんに、ドアの正面奥には重厚な大きい机が、出入り口に向かって置かれている。


 その机にインサニアが座り、椅子の左横に立てられているコート掛けに、銀の鳥のニゲラがとまっていた。


「やっと会えたな」ロイが一歩前に出ると「この時を待ってましたよ、尋ね人」嬉しそうな声を出すインサニア。


「アニスたちはどうしたのよ!」バーネットがロイの前に出てくると、インサニアが左脇に立っている若い兵士に指で合図を送る。


 すると、兵士は一礼して左隣の部屋に続くドアを開けると、マーティたちが(ろう)人形のように固まったまま立っていた。


「マーティたちにまで呪縛を掛けたのか?」ロイが睨むと「こうしておけば、見張る必要がありませんからね」ニヤッと笑うインサニア。


『クソッ。こんな手を使ってたなんて、考えもしなかったぜ』悔しそうにグリークも睨むと「僕たちは取引に出向いてきたんだ。元に戻してもらおうか」ロイが話を進める。


「それもそうですね」インサニアは、机の端に置いてある、中くらいの堅そうな(うるし)塗りの黒い長方形の木箱をとり、上蓋(うわぶた)を横にスライドして「フランジ・インカンタトレス・スオス」と言って蓋を閉めると、木箱の中からシューッと音がしだす。


(あの中に「復讐の女神」像が入ってるのか?)注意深く木箱を見るロイ。



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