23-1 再会
刻々と出発最終期限が迫りくるある日、ロイはアルバスに呼びだされた。
作戦会議室。
「どうしたんだ?」
「大したことじゃないんだが、忙しくてちゃんと礼を言ってなかったから」手を出し「いろいろ手伝ってくれてありがとう」
「何言ってんだよ。僕も、アルバスたちの協力がなかったら、犯人を突き止められなかった。礼を言うのはこっちのほうだよ」
「そろそろ出発するんだろう?」
「ああ。でも、期限まで手伝わせてもらうよ」
「悪いな」
「当たり前だよ」
「寂しくなるな。せっかくいい仲間ができたと思ったのに」
「帰りに寄るよ。その時までには立派な系星になってるだろう?」
「もちろんだ」
「ところでアルバス。君とセージに会わせたい人達がいるんだけど、ちょっと時間を取ってくれないか?」
「構わないが、誰なんだ?」
「それは、会うまで内緒だよ」
そして、出発最終期限の前日。
アルバスが時間が取れたと連絡してきたのでマーティも呼び、三人を小型艇に乗せると出発した。
「ロイ、どこ行くんだよ」後部座席からセージが聞いてくるので「惑星エルーカの尖山の基地だよ」
「あそこは今、誰もいねえぞ」
「ああ、誰に会いに行くのかわかったぞ」副操縦席のマーティに「誰なんだよ、教えろよ」
「会えばわかる」
「なんだよ二人して。誰に会うのか教えろ!」
「じきに会えるから暴れるな」
「アルバスは、誰に会いにいくか知ってるか?」隣に座っているので聞くと「知ってるわけないだろう」
宇宙空間に出てワープを一回こなすと、惑星エルーカが見えてくる。
独立戦争と無縁だったため、青くきれいな星のまま。
大気圏を抜けて広大な影の森が現れると北上し、目的の尖山へ向かう。
「戻ってきたんだな」外を眺めるマーティ。
あの時見た光景はまったく変わっていない。
尖山まで来ると麓近くの広場に着陸し、外へ出ると、あの時の光景が蘇ってくる。
逃げることに必死で、周りの景色が目に入っていなかった。
森の入り口近くまでくると、鳥の羽音や鳴き声が心地よく聞こえてくる。
「やっぱり、自然の中は落ち着くな」伸びをするアルバス。
「さて、目的の人達はどこにいるんだ?」辺りを見回すセージ。
「今呼ぶから、もう少し待ってろよ」
「呼ぶ? こんな所で誰を呼ぶんだよ」
ロイは森の中へ続く道のほうを向くと、小声で「シュール、あの二人を呼んでくれないか?」
『了解』
しばらくして、森の奥へ続く一本道からメルが走ってくると、後ろからミルの姿も見えてくる。




