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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第十章 決戦に向けての最強要員
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5-4 序章

 

「信じられない。順調にいってると思ってた作戦が、アイツが立てた計画の一部だったなんて」ショックのあまり、肩を落として俯くと「どうすればいいの? このままだと、アイツの思うとおりに事が進んでしまうわ!」


『諦めるな。必ず打つ手がある』

『とにかく、グリークたちを止めることが先決ですわ』


『コモン様。水の宮殿に連れてってください』ルーが立ち上がると『それは構わないが、彼らはまだそこにいるのか?』

『それは……』

『わたくしが確認いたしますわ』立ち上がると隣の部屋へ向かう。


『まだ水の宮殿にいるかしら?』心配なルー。

「向こうに行ったとき、余興として剣の試合をするんでしょう? だったら、すぐに戻ってこないわよ」


『今回はそんな悠長なことはしないだろう。三枚目の鍵を手に入れたら、もっともらしい理由を言い訳にして、すぐに戻ってくるはずだ』


「なんで?」

『君は、仲間が敵の手の内にいるとき、余興をやる心境になれるか?』

「……いいえ」


『グリークたちは、偽者を含めた同行者たちと一緒に「時の宮殿」へ戻ることになる。同行者は奴の手先だろう。当然、宮殿に結界が張られてることなど、計画に支障をきたすようなことに気付かれないよう仕向けてるはずだ。グリークたちは、敵の罠の中に飛び込んでしまうぞ』


『どうしましょう』ルーが困惑した顔をしてバーネットを見ると「私たちが何とかするしかないわ」


 そこへ「皆様、こちらの部屋へおいでください。ワームウッド様がお呼びになられています」お付きの女性が部屋の入り口から声を掛けてくるので、隣の部屋へ行くと、真ん中に作られている石で囲った円形の中をワームウッドが覗き込んでいた。


「彼女はあそこで何をしてるの?」

『水鏡を見てらっしゃるんです。あれは泉の神フォンス様がワームウッド様に贈られたもので、水の中に手を入れて見たいところを唱えると、その場所が映しだされるんです』


 ワームウッドの隣へいって中を覗くと、ロイとグリークが、同行メンバーたちと一緒に歩いている光景が映っていた。


『彼らはもう、水の宮殿から出てしまっていますわ』

「今、どこら辺にいるかわかりますか?」バーネットが聞くと彼女は水の中に手を入れ『遠くへ』声を掛けるとロイたちの姿が小さくなり、周りの風景が映しだされる。


『「時の宮殿」近くまで戻ってきてます! ワームウッド様、ここから呼び掛けることはできませんか?』ルーが聞くと『それは、無理ですの』


『なぜですか?』

『水鏡は映すだけで、声を伝えることはできませんのよ』

『そんな!』


「ロイ! グリーク! シュール! 私よ! バーネットよ! 聞こえたら止まって!」

『無理だ。彼らには聞こえない』


「じゃあ、門の鍵のペンダントか、ソレルが作ったブレスレットを水に浸けたら聞こえるかしら?」

『ソレルが作ったブレスレットだと?』

「これよ」袖をまくってブレスレットを見せると『確かに彼の作品だ。しかし、これに通信機能はない』


「じゃあペンダントは?」

『朱雀は火の精霊。水とは相反する位置にいる。無理だ』

「そんな……シュール! どうして声が聞こえないの!」


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