4-2 幻想の星の仕掛け
「あの幻覚は妖精が見せてたの。それで行方不明者が多く出るのね。そして「時の宮殿」へいって、ドアの中に入って迷いを克服して出てくる。未熟な人間のカウンセリングをしてくれてるのね」
『我々の居場所を荒らされたくないからだ』
「あら、耳が痛いわ」
『人間は好奇心の塊だ。自分たちが持ってる常識以外のことが起こると、無鉄砲に踏み込んでくる。人間が入り込んではいけない場所でもな』
「それは仕方ないわ。入ってはいけない所だと注意書きが置かれてないもの」
『注意書きの代わりに結界が張ってある』
「さらに、妖精の道がある」
『そうだ。さあ、その妖精の道へ入るぞ。ここから先は余計なことを考えるな』
洞窟から出ると、目の前には、真っ直ぐに伸びる一本道がモヤの中に浮んでいる。
三人はコモンを先頭にバーネット、ルーの順で一列に並び、迷いの道へ入ってしまった者たちの問いかけに耳を貸さず、ひたすら前を向いて歩くと、しばらくして大地の宮殿側の洞窟に入った。
入り口のところでコモンが持っているランプを点け、中に入っていくと、少しして「余程のことがない限り、妖精の道は二度と通りたくないわ」バーネットが疲れた顔をして座りこむので『我々も、緊急事態にならない限り、この道を使うことはない』足を止めて振り返る。
「本当に最後の手段なのね」
『さあ、行くぞ』
足早で奥へ歩いていくコモンのあとから息を切らせて付いていくと、徐々に気温が下がっていき、吐く息が白くなると、青銅の扉が見えてきた。
コモンが壁に付いている木枠の取っ手を取り、中の紐を引っ張って呼び鈴を鳴らすと、待っていたかのように木枠上の小窓が開き、お付の女性が顔を出して「ああ、お戻りになられてよかった。すぐお開け致します」小窓が閉まると、扉がゆっくり内側に開いていく。
「この寒さも、当分遠慮したいわ」中に飛びこむバーネット。
『手が悴んで、痛くなってます』ゆっくり指を動かすルー。
コモンがお付きの人にランプを渡すと『無事に戻ってこられて、安心しましたわ』階段から降りてくるワームウッドに『世話を掛けるな』声を掛けるコモン。
『いいえ。とにかく、早くお上がりになって。実は、大変なことがきてますの』階段を上がるワームウッドに『何が起きてるんですか?』ルーが聞き急ぐと『先程、使いの者に「時の宮殿」の様子を見に行かせたのですが、全面封鎖されてますの』




