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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第十章 決戦に向けての最強要員
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3-2 冥府の宮殿


 今度はバーネットに『こちらが、冥府の宮殿の管理者であるコモン様です』

「初め、まして」

『先ほどは驚かせてすまなかった』再度謝罪するとルーに『なぜここにキーマンを連れてきたんだ? ここは人間が来る場所じゃない。君も知ってるだろう?』


『その説明をする前に、確認させていただきたいことがあります』

『確認? 何のだ』

『復讐の女神像を、どなたかにお貸し出しされましたか?』


『あれは門外不出の像。貸し出すことなどできないと知ってるだろう? なぜそんなことを聞くんだ?』

『実は……』

 「時の宮殿」で起きていることを話すと『なんだと! 確認してくる!』慌てて席を立ち、急ぎ足で部屋から出ていく。

 

『まあ、お客様がいらしてるというのに、あんなに取り乱されて』先程案内してくれた女性が、お茶を持って入れ違いに入ってきて『何か、大変なことが起きてるんですか?』テーブルにカップを置きながら聞いてくる。


『あなたもお気付きになってないんですか?』

『エッ? どんなことでしょうか?』


「それは、彼が戻ってきたらわかりますから」バーネットが答えると『この方を疑ってるんですか?』

「確認できるまで待ったほうがいいわ」

『でも……わかりました』


『あの、何が起きてるんでしょうか?』二人の様子を見て心配そうな顔をすると、血相を変えたコモンが戻ってきて『大変だ! 復讐の女神像がなくなってるぞ!』


『あの像は、インフェリース様のお使いの方がお持ちになられたではありませんか』コモンの慌てように驚きながらも、お付きの女性が答えると『何だと? そんなこと聞いてないぞ!』

『ちゃんとお話されたとおっしゃってましたけど……』


「それはいつですか?」バーネットが話に入ると『確か、七十年くらい前です』

「アイツだわ」ルーを見ると(うなず)く。


『インフェリース様のテネブリス・ペタスム(闇帽子)をお持ちになっていらっしゃいました』

『テネブリス・ペタスムだと!』怪訝(けげん)そうに聞き返すコモン。


「ねえ、インフェリースって誰? テネブリス何とかって何?」隣のルーに聞くと、コモンが『インフェリース様はこの冥府の宮殿の管理責任者で、テネブリス・ペタスムは、インフェリース様お気に入りの烏帽子(えぼし)だ』


「烏帽子ですって!」

『どうした?』


「アイツはモスカールに、形見の帽子を取ってきたいと言ってたのよ」モスカールから聞いた、インサニアが来たときのことを話すと『申し訳ございません! 私のミスです!』お付の女性が(ひざ)をついて頭を下げる。


『もういい。君のせいじゃない。あれを持ってきたのなら、私でも信じる』

『コモン様……』


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