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ラディウスソリッシュ ~古代神の聖剣~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第九章 「時の宮殿」での戦い
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27-1 封印されていた守護獣

 

『「時の宮殿」は精霊界の中枢。当然、中は精霊界。もし封印されてなければ、入ったらすぐに現れるはずだからね。でも、いまだに現れないということは、そういうことになるだろう?』


「宮殿の庭でニゲラと話をしたときだろう。あの時しかチャンスはなかったからな」

「アイツがニゲラにやらせたの?」

「だろうな。彼女は今、奴に操られてるからな」


「マーティは気付いてたの?」

「ああ」

「いつ?」


「ヴィラへ行ったとき、俺たちに目もくれなかった精霊たちがいただろう? シュールが出てこれない話になったのを覚えてるか? その時だ」


「ああ、あの時ね。でも、どうして話してくれなかったの?」

「変だと思ったが、なぜなのかわからなかったからだ」

「でも、どうして、そんな事、したの、かしら?」


「奴の狙いは俺たちと入れ替わること。もし彼らが一緒にいたら不可能だ」


「コストマリーたちは精霊界のことを詳しく知ってるだろう? 当然、中枢である「時の宮殿」のことも知ってるはずだよ。もし以前と違ってることに気付いたら、警戒して、僕たちを宮殿の外へ連れ出すだろう。そうなったら、奴の計画は台無しだからね」


「私たちだけなら、この世界について何も知らないから、赤ん坊を扱うより簡単でしょうね」

「悪知恵が働く、手がかかる赤ん坊だ」マーティが捻くれたことを言うと「アハハッ、確かにそうね。転んだら何かしでかすわ」同意するバーネット。


「シュールのこと、わかっても、どうして、敵は、シーホリーたちのこと、知ってた?」

「ペンダントの絡繰りを知ってればわけない。モスカールたちが知ってるんだ。ニゲラだって知ってるだろう」


「そうね。でも「時の宮殿」、精霊界だと、知ってれば、入ったとき、気付いたのに」

「それは無理だ。幻想の星について、何も情報がなかったからな。しかも、この宮殿のこともわからなかった」


「第三の口伝も、ここのこと、書いて、なかった。知るすべは、なかった、ということ、ね」話し疲れてお茶を飲むと「シュール、大丈夫、かしら?」


「ちょっとやそっとじゃヘコたれないと思うけど、アイツが何をするかわからないから、心配ね」バーネットもシュールのことは気に掛けている。


『奴の狙いは、ラディウス・ソリッシュの精霊に自分が尋ね人だと認めさせること。彼女をうまく丸め込まなければならないから、ヘタなことはしないだろう。きっとご機嫌を取ってるよ』モスカールの説明に「一緒のロイ、偽者と、バレてるから、シュールを説得する、無理、と思う」


「今頃、プラズマでも食らわせてるんじゃない?」


「大暴れしてるところが目に浮ぶな」マーティが、怒鳴りながらメチャクチャに放電しまくっているシュールを想像すると「スイッチが入ったら、力尽きるまで止めないだろうな」さらに恐ろしい状況を想像するロイが頭を抱え「宮殿を壊さなければいいんだけど」

「見晴らしのいい吹き抜けがあちこちにできそうだな」


『ちょっと待て! 見晴らしのいい吹き抜けってどういう意味だよ!』グリークが慌てて話に入る。


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