26-3 反撃 準備開始
『そのため、太陽のある世界から来た者を、避けたりするんだ』
「どうして、ですか?」
『彼らから言わせると、日向くさい嫌な匂いがするらしいよ』
「それは、太陽の匂い、ということ、ですか?」
『そうらしいね。でも、しばらく滞在するとその匂いが消えるので、その頃になって、ようやく話してくれるようになるんだよ』
「でも、ここに、入った人達、みんな、動物、変化してしまう。彼ら、会っても、話せないんじゃ、ないですか?」
『確率的にはかなり低いけど、太陽の匂いが消えるまで、水を飲まない者がごく僅かではあるけど、いるからね』
「水さえ、飲まなければ、動物になること、ない、ですか?」
『処置してない水を直接飲まなければね』
「では、草とか果物、食べても大丈夫、なんですか?」
『まあね。植物に取り込まれると水の毒素を分解するので、直接取り込むより害が少なくなるんだよ。解毒草はその作用が一番強いんだ』
「そう、なんですか。では、その人達、闇の精霊、会うこと、できるんですね?」
『そうだね』
「じゃあ、幸運にも、動物にならなかった、人達、どうしてるんですか?」
『闇の世界の住人になってるよ』
「どうして、ですか?」
『いくら直接水を飲まなかったといっても、その水の成分をふくむ土や空気を触ったり吸ったりすれば、影響があるということさ』
「どんな?」
『日の光に当たると溶けてしまうんだよ』
「それって、闇の精霊たち、同じになる、ことですか?」
『そうだよ』
「そうなると、動物になること、免れても、二度と、日の光に当たること、できないん、ですね?」
『そうだね』
「でも、ルーは、大丈夫、なんですよね?」
『もちろん』
「どうして、ですか?」と聞くと小声で『それは、解毒草と同じ役割をするものがあるからだよ』
「それは?」
『内緒』
「どうして、ですか?」
『ここでは話せないことだから』と言われ、渋々頷く。
「あの、もう一つ、聞いても、いいですか?」
『いいよ』
「ある特定の、精霊、この中に入ること、できない、ですか?」
『そんなことないよ』
「そう、ですか」
『どうしてそんなこと聞くんだ? 何か気になることがあるみたいだね』
「それは、シーホリーたち、現れないから」
「あら、そういえばそうね」バーネットがペンダントを見るので『ああ、鍵の守護神のことか。それは、ペンダント内に封印されてしまってるからだろうね』
「封印ですって! いつ、誰がそんなことしたの?」
『たぶん奴が、宮殿に入る前に掛けたんだと思うよ』
「そんな前から!」




